「逆境に負けない絆 胸に」 長崎県内公立高で卒業式 静かに別れ惜しむ

クラスを代表して卒業証書を受け取る生徒=県立長崎北高

 長崎県内多くの公立高で1日、卒業式があり、思い出を胸に卒業生は新たな一歩を踏み出した。県教委などによると、本年度の卒業生は公立高が8099人(1月4日現在)、県立特別支援学校高等部は263人(同)。私立高は3850人(1月末現在)の見込み。
 長崎市小江原1丁目の県立長崎北高では、55回生276人が卒業。式典は新型コロナウイルスの感染防止対策として、在校生や保護者の参列を制限。校歌斉唱は在校生の独唱に切り替え、換気のために窓を開けた体育館で行われた。各クラス代表の7人が、林田誠一校長から卒業証書を受け取った。
 林田校長は、コロナ禍で休校したり各種行事が中止になったりしたことに触れ「大変な1年だったが、かわいそうな学年ではない。苦難を乗り越えた輝かしい学年。しなやかな知性で新時代を切り開いてほしい」とエールを送った。
 卒業生答辞で藤井明さん(18)は、境遇を嘆く日々もあったと苦しさを吐露。しかし「私たちはただ傷をなめ合う集団ではない。コロナとの戦いは、誰かと一緒なら強くなれることを教えてくれた。仲間との絆を胸に、いつか素顔のままで笑い合える日を願っている」と述べた。最後に在校生が独唱する校歌に思いをはせ、静かに母校との別れを惜しんだ。


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