【50代から鉄道趣味を更新する方法】519

※2020年9月撮影

トップ画像は、JR東日東海道本線根府川駅の遠景。国道の歩道橋の上から。木造駅舎と跨線橋が素晴らしい駅です。何よりも眺望が最高。目前に相模湾が広がります。

池口英司さんの『大人の鉄道趣味入門 人生の後半を楽しむための兵法書』(交通新聞社新書/2019)第四章、まだ続いています。

「鉄道×ハイキング~健康と新発見の”ハイク鉄”~」

「ハイキング」という言葉、久しぶりです。著者池口さんは主に「山歩き」を指して使われていますが、むしろ「ハイキング」は「自然の中を散歩する」ことだと思っていました。お弁当を食べるのが目的なら「ピクニック」です。池口さんの「山歩き」はどちらかと言うと「登山」に近い内容です。

※2020年9月撮影

小生自身「散歩」は大好きですが「山歩き(登山)」とは無縁です。「ウォーキング」というと「ジョギングの歩く版」で、メインはフィジカルな運動という印象。「散歩」は国木田独歩の『武蔵野』以来の「自然の中を足の向くままに歩くこと」でしょう。

いずれにしても「長距離を歩くこと」は、気候が厳しくなければ小生も普段から実践しています。【駅ぶら】なんて駅の周辺を歩き回ることですから。

線路伝いに通過する車両などを見ながら歩くのも楽しいものですよ。疲れたら次の駅から鉄道で帰ることができます。

著者池口さんは登山道で廃線跡を発見する喜びを書いておられます。話題が森林鉄道にも及びます。さらに小生の様な軟弱者の為に「トレッキング」「散策」にも触れられています。要は鉄道を使った広域散歩ですね。

※2020年10月撮影

「鉄道×史跡~これもアカデミックな”跡鉄”~」

“跡鉄”は著者池口さんさんの造語ですね。既に第三章にも「鉄道を歩く」で登場した廃線跡・遺構巡りですが、ここでは1964年の「東京オリンピック」で変化した東京や、失われた昭和の風景、例えば町工場の跡などがテーマにあげられています。さらに飛行場跡、発電所跡、変電所跡、漁場跡(地上にあるのでしょうか?)、廃寺、廃道なども俎上にのります。

1972年まで荒川区南千住にあったプロ野球球団・毎日オリオンズ(~毎日大映~ロッテ~現・千葉ロッテマリーンズ)「東京スタジアム」が紹介されます。小生はこの球場を知りませんでした。故・野村克也さんが球場の第1号ホームランを打ったそうです。この球場跡は「荒川総合スポーツセンター」になっています。「散歩」のテーマとしては格好です。

※2020年11月撮影

「鉄道×アニメーション~”アニメ鉄”は聖地巡礼へ~」

これも全国でアニメの舞台になった駅が聖地になってファンたちが巡礼しています。

著者池口さんが取り上げるのは「きかんしゃトーマス」、富士急行のラッピング列車と大井川鐵道の本格的な蒸気機関車などです。境港市の「水木しげるロード」、JR西日本境線の鬼太郎ラッピング列車や各駅に付けられた副駅名・妖怪もユニークですね。

ようやく最後の「鉄道×○○~次はあなたが○○を作る番~」にたどり着きました。(笑)

著者は「鉄道は進化し続けている」のだから、いくらでも自分なりの「鉄道×○○」が作れるはず、と書きます。”大人世代”の時間をどの様に使うか、主人公は一人一人の鉄道ファンなのです。

※2020年10月撮影

次回はいよいよ最終章です。

(写真・文/住田至朗)

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