テレワークで、会社がもっと好きになる?

テレワーク、ああテレワーク、テレワーク。

なんだかもう一句詠んでしまいたくなるぐらい、来る日も来る日も毎日テレワーク。そんな方々、アメリカでは多いのではないでしょうか。かくいう私も、昨年の3月からテレワークが始まり、今でも絶賛テレワーク中です。すでに会社から、今年の9月いっぱいまではテレワーク継続というアナウンスが出ているので、当面は自宅でのお仕事が続きそうです。皆さんはいかがですか?

さすがにここまで出社しない状況が続くと、会社や組織に対しての社員のコミットメントが低下してしまうのでは?といった意見もあるようです。確かに会議は基本すべてオンラインだし、同僚や上司の顔を実際に見たのなんてほぼ1年前だし……。業務自体はそれなりに毎日たんたんと進んではいるものの、メンタル的な繋がりがちょっと心配になりますよね。でもご安心を! 先日、なるほどと思った調査結果を目にしました。

パーソル総合研究所が2020年7月に実施した「テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査」によると、なんとテレワークをしている人たちのほうが、出社している人たちに比べて、「私は会社に愛着を感じている」「私は会社に対して感謝の気持ちを持っている」、そして「私は会社の一員として仕事をすることに誇りを持っている」割合が高かったのです。でも、なぜでしょう? さまざまな理由が考えられますが、このコロナ禍で会社側が社員の健康や状況に配慮したことや、テレワークというフレキシブルな働き方を提供したことなどが関係していそうです。「会社よ、融通を利かせてくれてありがとう! 私もっと頑張るよ!」的発想なのかもしれません。

では、社員の仕事の成果認識はどうでしょう。下記データをみると、「パフォーマンス」「ワーク・エンゲージメント」、そして「業務における創意工夫の発揮」の3つのカテゴリーにおいて、テレワークをしている人たちのほうが全項目で上回っています。どうやら働く場所が事務所でなくても、メンバー同士が対面して仕事をしなくても、社員の頑張り度にマイナス影響は出ないようですね。

コロナ以前は「テレワークなんて社員がサボるだけだ」とか「会社や組織の繋がりが薄れてしまうのでは」などといった懸念の声が多く聞こえていました。何を隠そう、私もその一人でした。チームを統率するのが大変そうだし、一人一人の頑張り度が目に見えないので不安だし……。でもふたを開けてみると、そこまで心配するほどテレワークは悪者ではないのかもしれません。まあ、よく考えれば、サボる人は出社していてもサボりますし。カフェテリアで長々と井戸端会議をしたり、喫煙コーナーに入り浸っていたりという人も過去にさんざん見てきましたので、確かに「出社=サボらない、テレワーク=サボる」という図式が正しいわけではありませんよね。むしろ社員一人一人のニーズにあった、テレワークのような多様な働き方を提供することで、一人一人の会社への感謝の思いが増して、「この会社について行こう!」「期待に応えられるようにもっと頑張ろう!」と社員たちは思ってくれるのかもしれません。

今は大変なコロナの時期ではありますが、期せずして新しい発見を与えてくれたのも事実。いつかこのコロナ騒動が明けた後、まるで何もなかったかのように今までのお仕事スタイルに戻るのか? それとも今回の経験を生かして、新しい働き方が進むのか? 今からとても楽しみです。

参考:
パーソル総合研究所「テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査」
rc.persol-group.co.jp/research/activity/files/telework-organizational-commitment.pdf

ライタープロフィール
北村祐子 (Yuko Kitamura)

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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