〝出版界の新星〟NEWS・加藤シゲアキに「ジャニーズ歴史小説」執筆オファー殺到

吉川英治文学新人賞を受賞した加藤シゲアキ。早くも次回作が注目される

ジャニーズ事務所のアイドルグループ「NEWS」加藤シゲアキ(33)の小説「オルタネート」が2日、第42回吉川英治文学新人賞を受賞した。同賞の歴史の中で、アイドル作家が選ばれるのは初めて。故ジャニー喜多川氏、藤島ジュリー社長の名前を出して感謝の意を表した加藤には、出版界から「ジャニーさんとジャニーズの歴史小説を書いて!」という要望が殺到している。

「三国志」「宮本武蔵」などで知られる大作家・吉川英治の名を冠した同賞は、1980年にスタート。これまで北方謙三氏や伊集院静氏ら数々の作家が受賞した歴史ある賞だ。

会見場にパーカー姿で登場した加藤は「今の気持ちを言うと、率直に驚いている。今だんだんと実感がわいてきて、やっぱうれしいのかなと思う」と語った。

受賞の喜びを伝えたい人について「一人はジャニー喜多川さん。物語は作ることができる、と僕の前で体現した最初の人。常に舞台の話をしていて、それを間近で見ていたし、ファンを感動させられると見せ続けてくれた人。この場を直接、見せられなくて残念ですが、改めて伝えに行こうと思う」と19年に亡くなったジャニーズ事務所創設者の名前をあげた。

もう一人は現ジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー氏だ。「最初に小説を書くように強く背中を押してくれた。その2人のおかげで、自分の作家活動が始まったと思っている」と語った。

加藤は12年、小説「ピンクとグレー」で作家デビュー。「オルタネート」は受賞こそならなかったが第164回直木賞の候補に入り、2021年本屋大賞にもノミネートされている。アイドル作家という色眼鏡で見られることはどうしても多いが、作品自体が評価されていることは間違いない。「オルタネートの映像化を求めて、ジャニーズには数えきれないほどのオファーが舞い込んでいる。出版界に現れたニュースターとして、出版業界の期待も大きい」(芸能関係者)

この日、今後の小説構想プランは明かさなかったが、出版界からは要望が出ているのは、吉川英治が大活躍した歴史小説のジャンルだ。

「芸能界に多大な功績を残したジャニーさんの伝記、ジャニーズ事務所の歴史を小説にしてほしいと出版界から望む声が出ている。ミリオンセラーは確実で、出版権を巡って前代未聞の争奪戦が繰り広げられるでしょう」(出版関係者)

99年からジャニーズに在籍し、ジャニーさんのことをよく知っている。在籍前の話もダイレクトに関係者に取材できる。そして何より卓越した筆力がある。加藤ほど、ジャニーさんの伝記、ジャニーズの歴史を書くのにふさわしい作家はいないだろう。

ジャニーさんの功績や日常から、事務所を二分する派閥抗争が起きた2010年代の〝ジャニーズ関ヶ原〟まで――加藤に期待が集まるのも必然だ。

アイドルと作家の「二足のわらじ」と言われてきた加藤は「ジャニーズのタレントはマルチにやるものと思っていて、専業という感覚は僕の中にはなく、なんでもやれるのがジャニーズのタレント。どれも僕自身の仕事で、好きなことをただやっているだけ。どちらかの比重が大きくなるというよりは、今までと変わらず歌って踊る日があって、お芝居をする日、書く日があるだけ」

ジャニーさんの魂を受け継ぐ加藤にとって、ジャニーズ史を書くことは作家人生の集大成になるのかもしれない。

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