フー・ファイターズ『メディスン・アット・ミッドナイト』結成25周年作品はグルーヴィーなダンス・ロック・アルバム

 今年結成25周年を迎える元ニルヴァーナのデイヴ・グロール率いるポスト・グランジ・バンド、フー・ファイターズ3年半ぶり通算10枚目のオリジナル・アルバムです。

 前作『コンクリート・アンド・ゴールド』はトランプ大統領や気候変動がもたらす暗い未来を憂いたシリアスな作品でしたが、今作はファンキーなリズムにあふれたダンス・ロック・アルバム。トランプ政権による分断、差別、不寛容といった社会問題が終わる日を願って制作されたようなポジティヴな作品。パンデミック前にレコーディングされたのですが、そのサウンドはロックダウンに苦しむ今の我々にも希望を与えてくれます。アデルやシーアを手掛けたプロデューサー、グレッグ・カースティンに託したサウンド・コンセプトはデヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」とのこと。バイデン大統領の就任式に行われたセレブレイティング・アメリカ・コンサートに出演した彼らの気持ちはいかばかりだったでしょう。

(ソニー・ミュージック・2400円+税)=北澤孝

© 一般社団法人共同通信社