アウディが新型『RS3 LMS』をシェイクダウン。ヒュンダイは『i30 N TCR』をアップデート

 アウディスポーツは、2021年下半期からの本格的なカスタマーデリバリーを予定する新型TCR規定ツーリングカー、2代目『RS3 LMS』のシェイクダウンを実施した。今季、同モデルでWTCR世界ツーリングカー・カップに参戦するフレデリック・バービッシュのドライブで、2日間のプログラムを終えている。そのライバルであるヒュンダイ・モータースポーツのカスタマー部門も、成功作『i30 N TCR』のアップデート版を披露した。

 2021年はナサニエル・ベルトンとともに、Comtoyou Racing(コムトゥユー・レーシング)からWTCRへの復帰参戦を決めているバービッシュは、2月最終週の火曜と水曜に、スペインのカタルーニャ州に位置するパルクモトール・カステッリョで最新モデルの初走行を担当し、500km以上を走破した。

 この2日間のセッションで、アウディスポーツはシェイクダウンに留まらず一歩進んだテスト・プログラムに移行することができ、新型エンジンをはじめとした各部コンポーネントの作動チェックを皮切りに、新機種となったエンジンに組み合わせるマニエッティ・マレリ製の新型共通ECUのテストや、さまざまなセットアップ変更にクルマがどう反応するかまで確認できたという。

 このテストの首尾に関して、アウディスポーツの広報担当者も「我々のテストチームは、真新しいRS3 LMSの最初のトラックテストと、その走行距離に非常に満足している」とコメントした。

「テスト部隊が焦点を当てていたすべてのコンポーネントは、我々の期待値に応える働きを見せてくれた。さらにマシンのセットアップまで進めることができたので、今後の開発テストに向け良い基盤を作ることもできた。ここカステッリョで重要な開発プログラムの新たな1歩を踏み出すことができ、結果は非常に有望だ」

WTCR世界ツーリングカー・カップに参戦するフレデリック・バービッシュがシェイクダウンを担当した
2日間のセッションで500km以上を走破し、マニエッティ・マレリ製の新型共通ECUのテストや、さまざまなセットアップ変更にクルマがどう反応するかまで確認したという

■ヒュンダイは市販モデルに合わせてエクステリア形状を変更

 アウディスポーツはWTCR開幕戦の6月を見据えて、今後も開発テストを継続するとした一方、ドイツのアルツェナウに拠点を置くヒュンダイ・モータースポーツも、2021年シーズンに先駆けて『i30 N TCR』の最新のアップデート・バージョンを発表した。

 改良版の主な変更点は、イヤーモデルとして更新されたロードカー版のエクステリアに準じてフロントバンパーの形状を変更。ヘッドライトもLEDデイタイムランニングライト(DRL)を備えた最新のグラフィックを採用する。

 ただし、ホモロゲーションの関係もあり今回のアップデートではシャシー、エンジン、ギアボックスなど主要なコンポーネントはすべて現状維持とされている。

 ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門でオペレーションリーダーを務めるアンドリュー・ジョンズは、この21年型に関して「我々のモータースポーツ・プロジェクトと、一般公道を走るロードカーとの間に強いつながりを築くことは、当初からカスタマーレーシング部門の重要な任務でもある」と説明した。

「だからこそ、ベースモデルのi30 Nが最新アップデートを受けるのが明らかになったとき、これらの変更をi30 N TCRと一致させることがとても重要だった。新しいフロントボディワークとヘッドライトは、我々のサポートエンジニアが可能な限りベースモデルの思想を学び、継続的な開発を実施したたゆまぬ努力の成果でもある」とジョンズ。

「これまで世界的に挙げて来た戦果こそがその証明で、我々のi30 N TCRはつねにこのカテゴリーで非常に強力な候補であったことを示している。性能面での向上はわずかかもしれないが、我々はつねに顧客の成功を意識し、彼らを選手権の最前線に保つよう務めていくつもりだ」

フロントバンパーの形状を変更し、LEDデイタイムランニングライト(DRL)を備えた最新のグラフィックを採用した『ヒュンダイi30 N TCR』の2021年モデル
今回のアップデートではシャシー、エンジン、ギアボックスなど主要なコンポーネントはすべて現状維持とされている

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