長崎・中村知事 県政の展望<7> 知事インタビュー 4期目未定 宿題に全力

残り1年となった3期目について語る中村知事=県庁

 3月1日で3期目の任期が残り1年となった中村法道知事にインタビューした。

 -3期目に特に意識して取り組んできた施策は。
 長崎県はまち、産業、社会が変わる時期に差し掛かっている。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録などもあり、海外も含めさらに交流を拡大すべきと思っていた。
 クルーズ船の県内入港数は順調に伸び2017年は過去最多の365回に上り、さらなる受け入れ体制の整備に取り組んだ。九州新幹線(長崎ルート)の開業やIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致も交流拡大のチャンスにしなければならないと考えた。地域経済を支えてきた造船関連業が厳しい中、研究開発型の大手企業の立地が相次ぎ、地域産業の構造改革にしっかり結びつけるという、そんな時期だった。
 前半は比較的順調だったが、3年目に入ると新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまなプロジェクトが中断・中止・延期を余儀なくされた。最初はこれほどまでに県民の健康や社会経済活動に直結する課題になるとは予測できなかった。今後は感染防止対策に取り組みつつ、落ち込んだ社会経済活動をどう回復させるかが最優先だ。

 -自己採点は。
 自己採点は控えるようにしている。成績は他の人につけていただきたい。
 ただ、最大の課題である人口減少にブレーキをかけるためいろんな施策を講じてきたが、思うような成果につながっていないことはしっかり反省したい。
 最近は若い女性が県外に出る傾向が強まっている。各産業分野で女性が男性と同じように活躍し、キャリアを積み上げられるような雇用環境をつくるといった視点が重要だ。

 -石木ダム建設事業について聞きたい。反対住民の理解を得るための対話の実現可能性は
 (家屋を強制撤去できる)行政代執行は最後の最後の選択肢であり、話し合いで解決するのがベストという考えに変わりはない。現在、担当者が現地を訪れ住民と調整を進めている。ただ工事をいったん中断して話し合うとなった場合、結論が出るまで工事は再開しないといった条件を付けられると、受け入れるのは難しい。

 -行政代執行を判断する時期は。
 私に与えられている期間はあと1年しかない。(解決に向け)最大限の努力をする。

 -4期目を目指すのか。
 まだ1年あり、4期目について考える状況にまったくない。宿題が山ほどあるので全力を注ぎたい。


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