突然ですが、僕の家にはごはん茶碗がありません。
なぜかというと、家で米を食べる習慣がなかったからです。炭水化物は外食で、という考え方でした。
でも、最近はコロナ禍で外食の機会が減って、家でも米を食べるようになりました。そんなときは、小さめのボウルによそったりするわけですが、どうも味気がなくて…。
というわけで、今回は茶碗づくりにチャレンジしてみたいと思います。
やってきたのは、小松市にある『九谷セラミック・ラボラトリー(通称:CERABO KUTANI)』。2019年にオープンした、ギャラリーや体験工房などを併設する九谷焼の複合型施設です。
建物の設計は、新国立競技場などをデザインした世界的建築家の隈研吾氏。木の表情や温かみが生かされた内外観には「和の大家」とも称される”らしさ”が表れています。
サクッと気軽に陶芸体験。
茶碗づくり体験は、前もってウェブサイトで予約をしました。今回選んだのは、電動ろくろを使って好みの器が制作できる「ろくろ体験コース」。ほかにも手びねりや絵付けなどが体験できるそうです。料金は3,300円〜。そのほかに焼き上がった器の送料がかかります。
ちなみに空きがあれば予約なしでも体験可能だそうです。
せっかくなので休みだった妻と一緒に、夫婦茶碗を作ることに。
そこで前もって、いくつかテーマを決めておきました。
・スタッキングできるように、なるべく形を揃える
・ごはん中盛りと納豆が入るくらいのサイズ感
・高台(底)は低めで、見た目をすっきりさせる
果たして、お望みどおりの茶碗を作ることができるのでしょうか。
ーー先生よろしくお願いします!早速ですが、上手にろくろを挽くコツを教えてください。
村松さん:しっかり脇を締めて、手と体を固定することですね。電動ろくろは同心円で回っているので、身体が動いてしまうと形が崩れやすいんです。
ーーなるほど〜。ちょっと緊張しますね。
村松さん:心配しなくても大丈夫!電動ろくろの良さは、回転力を生かして滑らかな円や曲線が成形できること。コツさえ掴めば初心者でも簡単に器が作れます。
ーーほかにポイントはありますか?
村松さん:焼き上げたときに15%ほど縮むので、それを見越したサイズに成形する必要があります。
九谷焼の美を伝えるこだわりの土。
ーー花坂陶石って、なんですか?
村松さん:九谷焼に欠かせない粘土の原料です。粒子が細かく、粘土にしたときのコシの強さが特徴で、ろくろ成型や型起こしに適しています。
ーーそうなんですか〜。
村松さん:鉄分がやや多く、焼くと青みがかかった白色になるのも花坂陶石ならでは。有田焼の天草陶石のような白さはありませんが、これはこれで九谷焼らしい独特の美しさがあります。
満足のいく形に仕上がったら作業は終了。あとは切糸を使ってろくろ上の粘土から作品を切り離し、仕上げから窯入れまでを村松先生にゆだねます。
体験の時間は30〜40分ほど。
あっという間の出来事でしたが、陶芸の楽しさがなんとなく分かった気がします。今度は絵付けにも挑戦してみようかしら。
そして、ついに待ちに待ったマイごはん茶碗が完成しました!
………
……
…
ジャーン!
サイズ感はバッチリ。形は微妙に違うけど、問題なくスタッキングできました。
九谷焼の産地で作った夫婦茶碗。これから大切に使っていきたいと思います。
九谷セラミック・ラボラトリー
石川県小松市若杉町ア91
TEL.0761-48-4235
営業時間/10:00~17:00
定休日/水曜日
駐車場/30台
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)