ウーバーイーツ報酬総額3割下げ チップ機能はあるが…配達員の胸の内

宅配サービスが激化しているが…

料理宅配サービスのウーバーイーツジャパン(東京)が3月から、一部地域で配達員の報酬体系を見直したことが4日分かった。配送距離などに応じて算出する基本料の水準を下げ、報酬総額は平均で約3割下落したとみられる。新型コロナウイルス流行に伴う解雇や雇い止めの影響で配達員のなり手が増える中、労働環境の悪化が懸念されている。

労働組合「ウーバーイーツユニオン」や複数の配達員によれば、2019年冬以来の大幅改定で、ウーバーは今月から福岡県と京都府で新たな報酬体系の運用を開始した。今後は他の地域にも広げる可能性がある。

ウーバーでは、昨年の5月ごろからチップ機能が加わり、利用客が配達員に対しアプリ内からチップを送ることができるようになった。チップは購入した商品の合計金額の5%から20%が表示され、そこからチップ代を選ぶか、自分で金額(支払金額の2倍まで)を打ち込んで支払うことができる。

米国では約360円の商品を配達した配達員が利用客から2万2000円のチップをもらったというケースもあり、配達員のモチベーションやサービス向上につながっている。

それでも日本にはチップの習慣がないため実際に支払う人はごくわずかだという。それだけに、報酬が下落することは配達員にとっては大きなダメージとなっている。

ウーバーイーツで働く大学生の男性は「3割下落はかなり大きい。今はきっと実験的に京都と福岡で実施していると思う。そのうち東京でも報酬が削減されるようになれば、辞める人が増えそうだし、配達する人がいなくなるのではないか。チップも、最近は払ってくれる人が増えたけど、3割も削減されたら、もうウーバーの配達は続けられない」と胸の内を明かす。

料理宅配サービスの争いが激化する中、どう影響してくるのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社