【新型コロナ】国内流行株でも「免疫回避」の変異例 慶應大研究グループが発見

 新型コロナウイルスの海外由来の変異株の流行が国内でも懸念されているが、国内の研究グループが、日本で流行している株からも、海外由来の変異株と同様にワクチンなどの免疫を回避する変異がみられたことを発見した。研究グループではウイルス変異株の全国的な監視の必要性を裏付けるものだとしている。

国内流行株からも「E484K変異株」を発見

 発見したのは慶應義塾大学臨床遺伝学センターの小崎健次郎准教授らの研究グループ。研究グループでは医療機関の協力を得て、国内の患者の体内にある新型コロナウイルスのゲノム解析を継続的に行い、国内での変異のありようを追跡している。

 新型コロナウイルスのゲノム解析に関しては、国際的なデータベース「GISAID」が構築されており、各国から随時データが提供されることになっている。研究グループは、今月3日に国立感染研究所が解析し「GISAID」に登録されたゲノム情報と、慶應大が蓄積し既に同データベースに登録している情報を比較分析。その結果、海外由来の変異株の特徴のひとつである「E484K」と呼ばれるタンパク質に変異がみられるウイルスが、国内で流行しているものにもみられたことを発見した。「E484K」の変異は南アフリカ、ブラジルで確認された変異株などに存在し、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されている。

 研究グループでは、今回変異が発見されたウイルスは国内での広がりは確認されていないが、国内で流行している株からもこの変異が確認されたという事実は、ウィルス変異株の全国的な監視の必要性を裏付けるものだとしている。

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