大谷 二刀流復活! 215日ぶり実戦登板で最速161キロ 全アウトが三振

最速161キロを記録した大谷(ロイター=USA TODAY)

上々のスタートだ。エンゼルスの大谷翔平投手(26)が5日(日本時間6日)、米アリゾナ州メサでのアスレチックス戦に先発し、1回2/3を投げて打者10人から全てのアウトとなる5三振を奪った。実戦マウンドは昨年8月2日のアストロズ戦以来で215日ぶり。これまで打者として出場したオープン戦では推定飛距離142メートルの特大弾を含む2試合連続安打中と好調で、メジャー1年目の2018年以来となる投打二刀流での活躍に期待は膨らむばかりだ。

試運転としては、まずまずだった。初回先頭のキャンハを3球で追い込むと、大谷の指先から放たれた直球は外角低めに構えたスズキのミットに白い糸を引くようにして吸い込まれた。手も足も出ない見逃し三振。それが当たり前の結果であるように、大谷は表情を変えることなく次打者との対戦に備えた。

2番アンドルスに投じた2球目の変化球が甘く入り三塁線を破られた。一死二塁と得点圏に走者を背負うも、左打者の3番オルソンにはカウント2―2から外角に力強い直球を投げ込み、空振り三振を奪った。4番チャプマンを四球で歩かせ、左打者の5番モアランドにはボール先行の投球となったが、大谷は動じない。カウントを2―2に整えると、内角低めにスライダーを投じて空振り三振に仕留めた。

すべてが万全だったわけではない。昨年8月2日のアストロズ戦以来、215日ぶりとなった実戦マウンドに力みもあった。しかし、その場に立たなければ分からないこともある。2回は先頭のラウレアーノに左中間への二塁打を許し、ピンダーから空振り三振を奪うも、左打者のケンプには右中間に二塁打されて1点を献上。9番ガルシアは3球で追い込みながら3球連続のボールで歩かせた。

それでも大谷には収穫があった。「球数をしっかり投げられたというのもそうですし、走者を背負っての投球などは実戦でしかできないことなので、そこも良かったと思います」。一死一、二塁からキャンハを空振り三振に料理したところで球数が41球に達して降板したが、実りのあるマウンドだった。打者10人から奪った5つのアウトは全て三振。オルソンに投じた勝負球の直球は、この日最速の100マイル(約161キロ)に達した。登板前には「全体的に抑え気味にいこうかな」とも考えていたそうだが、随所に“大谷らしさ”の詰まった復帰登板となった。

もちろん、反省点はある。打者4人に対して2ボール0ストライクとカウントを悪くしたり「決めにいくボールを引っかけてしまうことが多かった」。初回のアンドルスと2回のラウレアーノに許した二塁打は、いずれもカウントを取りにいったスライダーだった。ただ、いずれも開幕までに修正できる範囲のこと。開幕早々に投げることさえできなくなった昨季を考えれば上々の出来だろう。

久々の実戦登板というだけでなく、敵地のマウンドだったが、大谷には「比較的、エンゼルスファンの方も来ていたので楽しかったです」とスタンドを見渡す余裕もあった。「スプリットの変化が良かったのが一番の収穫。球速は必然的に上がってくると思う」と手応えも感じている。

メジャー移籍後に限れば、投手・大谷の登板実績は1年目の10試合と昨年の2試合の計12試合しかない。本格的な二刀流復活へ。大谷が大きな一歩を踏み出した。

・右ヒジ手術以降の大谷

2018年10月1日 右肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)

19年9月13日 左膝蓋骨の除去手術。右ヒジのリハビリは中断

20年2月23日 キャンプで初のブルペン入り

同3月12日 新型コロナ禍の影響で開幕延期、オープン戦中止が決定

同5月下旬 ライブBP(実戦形式のフリー打撃)に複数回登板

同7月7日 674日ぶりの実戦となる術後初の紅白戦登板。打者10人に50球を投じ7四球

同7月26日 アスレチックス戦で693日ぶりに公式戦登板。直球の最速は94.7マイル(約152キロ)で一死も奪えず、自己ワースト5失点KO

同8月2日 アストロズ戦で2度目の先発も1回2/3で5四球。試合後に右ヒジ付近の違和感を訴え、以後は打者に専念

21年2月8日 年俸調停を回避。2年総額850万ドル(約8億9000円)で契約合意

同2月18日 キャンプ2日目でブルペン入り。27球を投げ、最速は90マイル(約145キロ)

同2月24日 ライブBPで打者4人に20球を投げ、最速97マイル(約156キロ)。チェンジアップも試投

同2月27日 キャンプ2度目のライブBPで1004日ぶりとなる100マイル(約161キロ)をマーク ※日付は現地時間

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