【MLB】大谷翔平「楽しむ余裕なかった」 一進一退リハビリで掴んだ161キロと“知将”からの宿題

アスレチックスとのオープン戦に登板したエンゼルス・大谷翔平【写真提供:Angels Baseball】

アスレチックスとのオープン戦で215日ぶり実戦登板、最速161キロ、魔球スプリットを披露した

■エンゼルス 7-3 アスレチックス(オープン戦・日本時間6日・メサ)

エンゼルスの大谷翔平投手は5日(日本時間6日)、アリゾナ州メサで行われたアスレチックスとのオープン戦で今季初の実戦登板。215日ぶりの実戦登板で最速100マイル(約160.9キロ)の剛速球とスプリットを武器に、1回2/3で3安打1失点と上々のスタートを切った。一方でジョー・マドン監督からはエース級の大きな働きを求められた。【小谷真弥】

昨季とは全く違う。初回1死二塁。大谷は最速161キロの剛速球でオルソンから空振り三振を奪った。新人王を受賞した2018年に「悪魔」と評されたスプリットでも2つの奪三振。全5アウトを三振で奪う離れ業を見せた。「球数をしっかり投げられたし、ランナーを背負った投球は実戦でしか出来ない。そこも良かったかなと思います。真っすぐは良かったし、スプリットは変化が良かった」。登板後のオンライン会見で声を弾ませた。

右肘手術明けの昨季は8月2日(同3日)の本拠地・アストロズ戦で右前腕筋を損傷。その後は打者に専念し、2試合登板、0勝1敗、防御率37.80と屈辱にまみれた。それが215日ぶりの実戦登板で大変貌。昨季終了直後からリハビリを続けてきた大谷にとっては、一進一退だったという。

「いきなり飛び越えて状態が良くなるわけではない。良くなって悪くなって、良くなって悪くなって、良くなって悪くなって。ちょっとずつ上っていくような感覚なので。確実に良くはなっているけど、どのくらい良くなっているかは分かりにくい」

2019、2020年と投手・大谷のキャンプはリハビリ中心。球数は制限される上、キャッチボールの距離も細かく測られた。「ちょっと楽しむ余裕がなかった」。コンディション万全で臨む今季は、手術前の投球を取り戻す手応えを感じているようだ。

アスレチックスとのオープン戦に登板したエンゼルス・大谷翔平【写真提供:Angels Baseball】

マドン監督は中5日で二刀流フル回転させる考え「そういう感覚で投げられればベスト」

「近づいてはいると思います。どういう感じだったか思い出しづらい部分はあるんですけど、近づいているのかどうなのか。術後からどんどん良くはなっている」

全41球のうちストライク24球(ストライク率58.5%)。「カウントのスライダーがいまいち」と振り返ったが、メジャー1年目の2018年キャンプのような突貫工事の必要もなさそうだ。

二刀流フル回転へチームの期待は大きい。マドン監督は大谷へ新たな“宿題”を与えた。渡米後は中6日で1週間ごとの登板だったが、6人の先発ローテーションに組み込み、中5日で回す考えを示した。まずは大谷も挑むつもりだ。

「実際にやってみないと、どういうサイクルで回っていくか分からない。1試合、2試合だけで状態が分かるわけではない。10試合、20試合投げた時にどうなるか。そういう間隔(中5日)で投げられればベスト。それが出来るような調整が望まれていると思います」

「ブルペンの球数も考える必要があるし、日々のキャッチボールの強度も毎日全力で投げればいいわけではない。これまで中6日のスケジュールで自分がどういうふうにやればいいか、相談しながら決めてきましたけど、1日違うのは投手にとって違うことだと思う。そこは経験しながら、どれが合っているか確かめる必要があると思います」

日本時代から首脳陣が求めれば求めるほど燃え上がる男だった。大谷を故障させないことが大前提となるが、球界屈指のアイデアマンでもあるマドン監督がどのようなタクトを見せるのか。少なくともチーム7年ぶりポストシーズン進出のカギを握っていることは間違いない。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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