「ただ抑えるだけじゃなく…」 鷹・甲斐が語った捕手がオープン戦で行う準備とは?

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

「この期間を大事にして1打席1打席、意味のある打席にしようと心がけてやっています」

■ソフトバンク 4-3 阪神(オープン戦・7日・PayPayドーム)

ソフトバンクは7日、本拠地PayPayドームで阪神とオープン戦を戦い、4-3で勝利した。この試合で決勝点を叩き出したのは甲斐拓也捕手。1点ビハインドの2回に逆転のグランドスラムを放った。

「なんとか1点というところでした。しっかり犠飛でもと打ちに行ったのでホームランになるとは思いませんでした。結果的にああいうホームランになったのかなと思います」。栗原、真砂、佐藤直の3連打で作った無死満塁のチャンスで打席へ。犠飛という最低限の働きだけを意識して打席に入ると、放った打球は左翼ホームランテラス席に消えた。

逆転の満塁弾に「キャンプから取り組んでいることを継続して、この期間を大事にして1打席1打席、意味のある打席にしようと心がけてやっています」と語った甲斐。打力向上を掲げてオフの自主トレ、キャンプをこなしてきた成果としての一発となった。

打者としても開幕に向けて準備をしなければいけないが、それと同じく、いや、それ以上に大事になってくるのが正捕手としての準備。このオープン戦という期間、どんなことを意識して捕手は開幕に向けて準備を進めているのだろうか。

オープン戦期間中は普段できない配球や、引き出しを増やすための策に挑戦

「試せるものは試していこうと思っています。投手とも話をして、その日自分たちで1つでもこうやっていこうというのを作ってやっています。ただ単に試合をこなすのではなく、シーズンに向けて、普段できないことに挑戦したり、シーズンの中でのケースも含めて引き出しを多く持てるようにしています」

オープン戦期間中、甲斐ら捕手陣が投手と話し込む姿をよく目にする。徹底的にコミュニケーションを取り、その日の投球内容をある程度、事前にプランニングする。ただ単に抑えにいくのではなく、新たな配球に挑戦してみたり、投手が調整したい球種を意図的に増やしてみたり…。その日その日で投手との間でやりたいことを決めて臨んでいる。

勝敗度外視のオープン戦とはいえ、結果も重要だ。ただ、抑えた、打たれたの結果以上に大事なものがある。

「やった結果、どうなるのか。結果も大事ですし、求めていきますけど、内容も求めていかないといけない。打たれた、抑えた、で終わるのではなく、その先の話をできないといけない。ただ試合をこなす、ただ抑えるだけで終わらせることはしたくない」

目に見えない水面下で繰り広げられているオープン戦でのバッテリーの準備。迫りくるシーズンに向けて、さまざまなことにチャレンジしているようだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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