【弥生賞】タイトルホルダーが逃げ切りで重賞初V 栗田調教師「自分で競馬をつくったのが大きい」

タイトルホルダー会心の勝利に横山武はガッツポーズ

7日、中山競馬場で行われた4・18皐月賞のトライアル・GⅡ弥生賞ディープインパクト記念(芝内2000メートル=3着までに優先出走権)は、4番人気の伏兵タイトルホルダー(牡・栗田)が逃げ切り勝ち。前2走で敗れていた無敗のダノンザキッド(牡・安田隆)を完封し、うれしい重賞初制覇を飾った。果たして本番でも台風の目となるのだろうか?

5ハロン通過は62秒6。1週前の同距離の3歳未勝利戦(勝ち馬ララサンスフル=2分01秒4)より1秒0も遅いマイペースに持ち込んだ時点で、タイトルホルダーの逃げ切りはいわば自明だったのではないか。2番手から運んだシュネルマイスターが勝ち馬と同じ上がり(34秒5)で0秒2差2着。中団から最速タイの上がり34秒2を駆使した2歳王者ダノンザキッドとて、2着馬をクビ差の3着まで追い詰めるのが精一杯だった。

光ったのが鞍上の判断力。初コンビとなった横山武の手綱が冴えた。

「スタートはいつも速いので、この(逃げる)形はイメージ通り。カーッとしやすい馬なんで、そこが一番のカギだと思っていたけど、うまく単騎で自分のペースで行けた。調教でもいい動きをすると思っていたけど、乗りやすいし、パワーだとかすべてがいいですね」

昨年はJRAで94勝をマークして自身初となる関東リーディングを獲得。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのデビュー5年目の若武者が、この日も無観客の中山競馬場でひと際大きな輝きを放った。

栗田調教師は「逃げないほうがいいとか、馬群で我慢させたほうがいいかとも思っていたが、この馬の良さはやはりスピードの持続力。前々で長くいい脚を使ってくれた。ジョッキーもうまく乗ってくれたと思います。中間はクロス鼻革を着けたりして操縦性を求め、うまく修正ができた。かといって、クロスにしたから勝てたというわけではない。自分で競馬をつくったのが大きい」。

調教の効果と鞍上が持ち味を最大限に引き出したことを勝因に挙げた。

GⅢ東京スポーツ杯2歳Sで0秒2差2着、GⅠホープフルSで0秒5差4着…。JRA賞最優秀2歳牡馬ダノンザキッドとの3度目の対決で初めての勝利だ。「枠(の並び)もあるし、人気馬は後ろで折り合いに専念する形だった」と栗田調教師。2歳王者がGⅠ皐月賞(4月18日=中山芝内2000メートル)への“試走的”色合いが濃かったのもまた事実だろう。

さらに、鞍上はデビューから3連勝でGⅢ共同通信杯を制したエフフォーリアの主戦で、本番での連続騎乗は難しい状況でもある。この日の勝利だけを切り取れば前途洋々とはいかないが、“マイスタイル”を貫く競馬が本番でもできれば…。再度大仕事をやってのける可能性は十分に秘めている。

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