【国際女性デー2021】「美しすぎる野球選手」の葛藤 ファン拡大の役割自覚…でも「技術よりもそこが目立ってしまう」

野球界でジェンダー平等の取り組みを進める加藤=2月5日、東京都調布市

 「美しすぎる野球選手」の存在は、ファン層拡大のきっかけになる。だが、容姿が先立つ呼称に女子野球の加藤優(25)=GOOD・JOB=は複雑な笑みを浮かべる。

 厚木商高出身。女子プロ野球時代はタレント活動を並行させ、一躍脚光を浴びた。「にわかのファンにも野球の良さを伝えるのが自分の仕事」。スポーツ番組などメディアに積極的に出演し、“広告塔”としての役割を担ってきた。

 ただ一方、「パワーや技術よりもそこが目立ってしまう」。類いまれなバットコントロールへの称賛も容姿の「美しさ」が付随する。アマチュア選手として現役復帰した今も葛藤があるという。

 ジェンダー平等の理念が叫ばれるスポーツ界でも、野球界はとりわけ男性中心主義が根強い。プロはもちろん、高校から社会人まで各カテゴリーの担い手は大多数が男性だ。

 昨年から横浜DeNAのスクールコーチに就いたが、12人中、女性は加藤を含めて3人。女子野球の旗頭として再認識した思いがある。

 「野球はまだ男性がやるものと思われている。男性が多い中でもスクールの女の子に男女対等にやっていけるところを見せていきたい」。手掛ける少年野球教室には、未来を担う女子選手も参加する。草の根から変革を促していくつもりだ。

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