突然の出入り口封鎖 住民困惑 市有地売却「通路の認識なし」

封鎖された出入り口

 長崎県大村市木場1丁目の上久原公園で、西側に隣接する市有地側の出入り口が2月中旬に封鎖された。出入り口と市有地は長年、付近住民らが公園を利用したり通り抜けたりする際の通路として使われており、住民からは「なぜ突然」と戸惑う声が上がっている。
 市によると、市有地には以前、私立保育園があり、子どもたちが公園を利用する際の安全性に配慮して便宜上、出入り口が設けられていた。
 一方、付近住民によると、この出入り口は市有地の一部も含め、住民側も通路として利用していた。2017年に保育園が解体された後も住民らは通り抜けなどに使っていたという。
 ところが2月中旬、突然フェンスが設置され、通り抜け不能に。公園出入り口は北側1カ所だけとなり、南側から公園を利用する場合、100メートルほどの迂回(うかい)が必要となった。
 近くに住む80代女性は、「『少し回り道すればいいだけ』と言われるかもしれないが、高齢者にとっては結構な負担」と困惑気味。木場団地町内会の龍野ムツ子会長も「これまで町内で工事がある際は業者が来て住民への周知をお願いされていたが、今回は事前説明が全くなかった」と首をかしげる。

フェンスで封鎖された上久原公園西側の出入り口=大村市木場1丁目

 市によると、フェンスは市有地売却が決まり1月中旬に公告したことに伴い設置された。市河川公園課は「住民が出入り口や市有地を通路として利用しているとの認識はなく、そもそもそのような想定もしていない。出入り口を残してほしいとの要望もなかった」と説明する。事前説明がなかったことについては「大きな工事ではなく修繕程度だったため」としている。
 市有地の売却は既に公告されていることから、通路として一部を残すことは不可能。公園に新たな階段やスロープを整備するにしても「高低差があり、敷地のかなりの部分を削ることになるため難しい」(同課)という。
 龍野会長は「住民がずっと使ってきた通路だったため、事前に説明してほしかった。不便さを訴える声も寄せられており、どうにかして通り抜けできるようにしてほしい」と求めた。


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