文化復興、まちづくり提起 首里城有識者懇が知事に報告書提出

 2019年10月に焼失した首里城再建の在り方を考える県の「首里城復興基本計画に関する有識者懇談会」の下地芳郎座長(沖縄観光コンベンションビューロー会長)らは9日、県庁を訪れ、報告書を玉城デニー知事に手渡した。報告書では、首里城の復元を契機として琉球文化の復興を図るソフト施策と、正殿などの建物群の復元にとどまらず那覇市首里地区のまちづくりにも発展するハード施策などが融合した再建の在り方を提起した。

 具体策として、しまくとぅば教育の制度化や文化財を含めた美術工芸品の修復拠点の整備・管理の在り方の整理、県民参加型の再建を目指して石材や材木の運び出しの際にはイベントを催すことなどを挙げた。

 基本計画の報告書は、首里城地下の第32軍司令部壕の保存と活用の在り方の検討などを盛り込み、20年4月に公表した首里城復興基本方針をたたき台にまとめた。16日に開催する県庁内会議で正式決定する。 基本施策は(1)正殿などの早期復元と復元過程の公開(2)火災の原因究明および防火設備・施設管理体制の強化(3)首里城公園のさらなる魅力の向上(4)文化財などの保全、復元、収集(5)伝統技術の活用と継承―などの八つ。

 県は21年度から首里城周辺のまちづくりの在り方を示す新首里杜構想の具体化へ向け、那覇市や国、地域住民と連携して協議を進めたい考えだ。

 玉城知事は「今回の復元は平成の復元とは違い、県民の参加意欲が強い。関係部局一丸となって取り組みたい」と話した。

© 株式会社琉球新報社