過疎を取るか、核を取るか──「核のごみ」に揺れる町を追う!

HTB北海道テレビで3月14日にHTBノンフィクション「過疎を取るか 核を取るか~『核のごみ』揺れるマチの針路は~」(午前10:30、北海道ローカル)が放送される。原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の文献調査に応募した北海道の二つの町を取材し、展望を探る。

「世界最悪」レベルの事態に陥った福島原発事故から10年。さまざまな問題が山積する日本の原子力政策のなかで、いわば「究極の課題」となっているのが、使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物=核のごみだ。

その最終処分場をめぐる議論が、去年、北海道で突然動きだした。

「日本の核のごみ問題に一石を投じる」

寿都町の片岡春雄町長が、処分場選定の第一段階となる「文献調査」応募への検討を表明したのだ。住民にとっては、まさに「寝耳に水」。周辺自治体や北海道知事からも懸念や反発の声が上がったが、町長は一貫して応募の姿勢を崩さなかった。念頭にあったのが、調査受け入れで国から支払われる最大20億円の交付金だ。ある住民はこう言い切った。

「過疎を取るか、核を取るか、それだけだ」

その1カ月後。まるで足並みをそろえたかのように、同じ後志の神恵内村でも応募検討の動きが急浮上した。急速な人口減少と産業の衰退に直面する町。その存続を懸けた地元商工会の提案に、反対の声は影をひそめた。

過疎地域に巨額の交付金で誘致を促してきた日本の原子力政策。それを受け入れる道を選択したのが、青森県の下北半島にある六ケ所村だ。同番組では、核のごみを生み出す核燃料サイクル施設が集中する下北半島を取材。かつて反対運動が繰り広げられた町では、ある変化が起きていた。

「もう私は腹をくくっています」

かつて建設に反対していた村議はこう話す。激しい反対運動を展開した住民たちも声を上げなくなった。今では半数以上の世帯が、原子力施設の関連企業で働いている。村にとって「核」は「切っても切れない存在」となっている。歴史は繰り返されるのか。北海道の二つの町がたどる「針路」を展望する。

ナレーターは2020年11月29日に放送したHTB制作「テレメンタリー2020 過疎を取るか 核を取るか~『核のごみ』処分場に揺れるマチ~」に引き続き、元NHKアナウンス室長の山根基世が担当する。

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