『天然クエ』気軽に地産地消 長崎卓袱浜勝で通年メニュー化

天然の県産高級魚クエの鍋を中心とした夕凪コース=長崎市、長崎卓袱浜勝

 長崎市鍛冶屋町の卓袱(しっぽく)料理専門店「長崎卓袱浜勝」は、天然の県産高級魚クエを使った料理メニューの販売を始めた。地元ではあまり流通していないが、予約なしで年間を通して提供できるようにした。
 クエは九州の方言で「アラ」とも呼ばれ、長崎県は全国屈指の産地。ただ大半が県外の飲食店に供給され、地元消費は少ない。鍋物のイメージもあって冬が旬とされるが、実際は1年中、水揚げされている。
 クエを浜勝に卸す印束商店(長崎市)の印束晃代表は「県産クエは質も量も全国トップクラスだが、地元で食べる場所は限られる。味は個体差が大きく、夏でも餌を食べて活性化し脂が乗ったものが捕れる」と話す。
 新型コロナウイルス禍で外食での需要が激減。そうした中、浜勝を運営する長崎県創業のリンガーハットは、県内水産業を支援し、地産地消につなげようとメニュー化した。印束商店が重さ20キロ前後の天然物を厳選し常時提供。活き締めした後3~10日熟成させ、うま味を引き出す。浜勝は需要を予測し仕入れる。
 クエ鍋コースは3種類、7700円から。このうち1万4300円の夕凪(なぎ)コースは刺し身や湯引き、竜田揚げが付き、多様な食感と味わいを楽しめ、締めは雑炊。アラカルトやランチメニュー(茶漬け、刺身御膳)もある。コロナ対策としてスタッフが一人前ずつ取り分け提供する。
 4日の試食会でリンガーハットの米濵和英会長は「長崎の名物料理に育てたい」と話した。長崎卓袱浜勝(電095.826.8321)。


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