街の書店が健闘、売り上げや来店増

県内、コロナ下に魅力再認識

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コロナ禍の中、書店には多くの客が来店している=山形市・八文字屋本店

 新型コロナウイルスの影響で各業界が打撃を受ける中、街の書店が健闘している。在宅時間増に加え、大ヒット漫画をはじめとした単行本が売り上げを押し上げているという。近年はインターネットショッピングや電子書籍が存在感を増していたが、店頭で本を手に取って品定めをすることで「日常」を感じられると、コロナ禍の中で書店の魅力が再認識されている。

 全国出版協会の統計によると、紙の出版物の市場規模は2016~19年の間で毎年4~7%ずつ減少していたが、昨年は1兆2237億円で、前年比1%減だった。感染対策で外出が減り、家計の支出が書籍に回ったとみられる。

 本県と宮城県に店舗を構える八文字屋では、緊急事態宣言が出された昨年4~6月は一時客足が遠のいたが、その後は徐々に回復。大ブームとなった「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」などの単行本のまとめ買いが多く、顧客1人当たりの出費額が伸びている。レシピ本やストレッチ本なども好調で、在宅時間の充実につなげようとの動きも見て取れる。

 戸田書店山形店(山形市)では、昨年3月ごろから来店者数が例年よりも増えているという。感染症対策で営業時間を1時間短縮しているが、売り上げは前年より微増傾向。特に週末の来客数は例年の2倍ほどで、客層は家族連れが多くなっている。書籍に限らずジグソーパズルやボードゲームなども人気で、昨年末からはこうした商品を集めた「おうち時間コーナー」を設けている。

 インターネットで本を買う人も増えているが、書店に活気が戻ってきた要因として、八文字屋の担当者は「人々は非日常の中で、日常を求めている。在宅のストレスを発散させるために来られる方もいるのでは」と推測。山形市の八文字屋本店に訪れていた大学生の女性(20)は「時間を持て余すようになり、書店に来る頻度は格段に増えた」と話す。

 同店の担当者は「コロナ禍で書籍の魅力を再認識した人が多いのではないか」とみている。一方で、今後も来店を促す工夫を続けなければ店舗経営は成り立たないとし、「消毒液の設置などの感染対策はもちろんのこと、ニーズのある商品の仕入れを途切れないようにするなど、万全の準備をしていく」と力を込めた。