コロナ禍で急増 事業の廃業・転換

けいナビ

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今週のけいナビは、新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境にある会社の、廃業や事業の転換をめぐる動きを取り上げる。

創業100年を前に…老舗の額縁店が廃業

札幌・狸小路にある松山額縁店。約2,500点の額縁や絵画を取り揃え、97年の長きにわたり北海道の美術界を縁の下で支えてきた老舗だ。先月末、閉店した。

多いときで年に1万枚が持ち込まれるという写真や絵画。客の要望に沿う額縁づくりを続けてきた。店内に所せましと並ぶ額の数々。見本だけを置き、注文を受けて取り寄せる店も少なくないが、松山額縁店は実物をその場で確かめ持ち帰ってもらうことにこだわってきた。

外出自粛や休業、時短営業の要請などが次々と打ち出され、対面販売を大切にするこの店のスタイルが困難に。ネット通販などに押され、売り上げが減り始めていたところをコロナ禍が襲った。客足は減り、売り上げを維持するのが難しい状況となった。

北海道内の絵画や写真の展示会なども担当。展示品を収める額装や運搬、展示など、北海道の美術界を下支えしてきた。こうした作業は信頼できる同業者に引き継いだ。

松山真也社長は「地域に密着した店だったと思うが、わたしの代でこういうことになるのは本当に断腸の思い」と話す。取引先や客に迷惑をかけないよう、余力のあるうちに廃業を選んだという。

廃業を支援 崖っぷちの相談

札幌で事業の再生などを手掛ける経営コンサルタント、山崎誠さん。山崎さんは銀行と会計事務所でそれぞれ10年勤務したあと、独立した。この日は道央へ。コロナの影響で廃業を検討している経営者と金融機関との面談に立ち会った。

経営難に陥り相談に訪れる経営者の9割が事業の継続を望むものの、ほとんどが廃業に追い込まれるのが現実だ。去年までは月に1~2件だったそうした相談は、ことしに入って10件ほどに急増している。

背景にあるのは、コロナ禍でも企業が存続できるよう国が設けた無利子・無担保の貸付制度。一時しのぎで制度を活用したものの、返済が迫り、追い詰められている経営者が少なくないという。その傾向が特に強いのが飲食業だ。

一口に廃業といっても、大きく3つに分けられる。ひとつは資産が負債を上回っている場合の「通常清算」。企業が債務を払って残った資産を株主に配当し、手続きが終了する。一方、債務が資産を上回る債務超過の場合「特別清算」や「破産」となる。たとえ「破産」の手段をとるにも相談料などがかかるという。

逆境のカラオケ店 生き残りかけ事業転換

北海道内外に11店舗のカラオケ店を展開するタカハシグループの「北東商事」。コロナ禍による甚大な影響を受けている業種の一つだ。外出の自粛や営業時間の短縮。忘年会や新年会といった集まりも減り、「2次会」需要も大きく落ち込んだ。

去年、札幌や小樽で相次いだカラオケスナックなどでのクラスター。逆風の中、独自の対策を徹底。カラオケルームに白い煙を充満させて空気の入れ替わりをみる実験まで行うなど、安全性を追求してきた。北東商事によると、1時間に10回ほど空気が入れ替わっているという。

それでも完全な客足の回復にはつながらず、業態の転換に乗り出した。主力のカラオケ事業に代わる新たな業態、24時間対応の完全個室型フィットネスジムだ。

個室が基本のカラオケボックス。この店では28室の個室を男性用16室と女性用12室に分けて改装。筋力トレーニング用のマシンを2台ずつ、音楽や映像を楽しめる大型モニターなども設置した。

受け付けは入り口の端末に入力するだけ。人と接することなく利用できる。北東商事が得意とするエンターテイメント性を意識し、北海道で初めて、映像で世界各地のマラソンコースを疑似体験できるマシンも導入した。

北東商事はもう一つ、パンの販売にも乗り出した。ことし1月、札幌近郊に26店あるパン店「ボストンベイク」を完全子会社化した。

カラオケ店で使う食材も一緒に効率的に仕入れすることで、スケールメリットが生かせると考えている。反響を見て、フィットネスジムやボストンベイクの店舗拡大を検討するという。

新型コロナウイルスという未曽有の危機によって、多くの事業者が難しい選択を迫られている。
(2021年3月13日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)