【全日本】宮原 マット界の若返りへ「時計の針を責任もって進めます」

世界タッグのベルトを肩にかけた宮原は遠くを見つめた

全日本プロレスの宮原健斗(32)が業界のトレンドに「待った」をかけた。ベテラン勢が席巻する流れは自ら招いた結果と猛省し、先頭に立って時計の針を進めることを決意。青柳優馬(25)との王者コンビでゼウス(39)、入江茂弘(32)組を迎え撃つ世界タッグ王座のV2戦(14日、東京・後楽園ホール)を皮切りに、3冠ヘビー王座返り咲きを目指す。

眼下に広がる東京を眺めながら、宮原は静かに口にした。「プロレス界のために、僕が(3冠ヘビー級と2本のベルトからなる世界タッグを同時に巻く)5冠王にならないといけない。だからまずは世界タッグを絶対に防衛しないと」

V2は義務だと自らに言い聞かせた上で「その先、チャンピオン・カーニバル(CC)に(5月16日の)大田区総合体育館大会と続きますから。CC優勝で、大田区で3冠奪還っていうのが一番いいでしょう」と青写真を描く。世界タッグ王者として4月9日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で開幕するCCを制し、今年最初のビッグマッチで3冠王者に返り咲こうという算段だ。

再び団体の中心に立つのは、ベテラン勢が躍進するマット界を変えるためだ。58歳の武藤敬司がノアのGHCヘビー級王座を巻き、DDTのKO―D無差別級王座は51歳の秋山準が保持する。しかも3冠王者の諏訪魔も44歳で、今月でベルト保持期間が1年となる。

宮原は「そういうことが話題になること自体、僕に責任があるんです。僕がチャンピオンじゃないから、こうなってしまった」と分析する。数年前には各団体で20代王者が生まれ、マット界の若返りに注目が集まった。その代表格が宮原で、2016年2月に同王座史上最年少となる26歳11か月で3冠王者となった。

だが、4度目の戴冠時の昨年3月23日に王座を明け渡したことから諏訪魔政権の誕生を許しており「僕が有無を言わせない雰囲気をつくっていればよかったわけですから」と自責の念に駆られている。

「正直、この流れは一過性のものだと思ってるし、危機感もない。あるのは責任感。そういう雰囲気をつくらせてしまったのは僕の責任ですよ。だから正しく時計の針が進んでいると分かりやすく見えるように戻します。それが僕なりの責任の取り方」。3・14決戦から新たな戦いがスタートする。

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