カージナルスの速球王・ヒックス 2019年6月以来の実戦登板

最速105マイル(約169キロ)の速球を誇るジョーダン・ヒックス(カージナルス)が2019年6月以来となる実戦のマウンドに戻ってきた。日本時間3月11日、ナショナルズとのBゲーム(練習試合)に登板したヒックスはわずか11球で1イニングを三者凡退。3人の打者を三振1つ、内野ゴロ2つに抑え、順調な調整ぶりをアピールした。カージナルスのコーチによると、実戦形式での打撃練習中には102マイル(約164キロ)を計測したという。

現在24歳のヒックスは2018年3月にメジャーデビュー。前年はマイナーのA級とA+級で先発投手としてプレーしており、「飛び級」の大抜擢として話題になった。この年は73試合に登板して3勝4敗6セーブ、24ホールド、防御率3.59を記録。翌2019年には早くもクローザーに昇格し、29試合に登板して2勝2敗14セーブ、3ホールド、防御率3.14をマークしたが、6月に右肘内側側副靭帯を断裂し、トミー・ジョン手術を受けてシーズン終了となった。

昨季は夏場以降に復帰できる予定だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、糖尿病のリスクを考慮して出場辞退を決断。戦列復帰は今季に持ち越されることになった。今回はBゲームで登板したが、次回はオープン戦での登板が有力視されており、ヒックスの名前が公式記録に刻まれるのは2019年6月22日(現地時間)のエンゼルス戦以来となる。

なお、マイク・シルト監督はヒックスをクローザーとして起用する可能性を排除していないものの、シーズン序盤からいきなりフル稼働させることはしない方針。よって、セットアッパーやクローザーではなく、重要度の低い場面で登板する中継ぎ投手の1人として開幕を迎える可能性が高い。

「彼は身体的にも精神的にも状態が良さそう」とヒックスの復活に太鼓判を押すシルト。最速105マイルの速球がよみがえる日もそう遠くはなさそうだ。

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