【東日本大震災10年】小泉元首相「脱炭素、原発ゼロでも可能」エネ政策転換訴え

原発ゼロを訴える(左から)鳩山由紀夫、小泉純一郎、菅直人の首相経験者の3氏=11日、都内

 原発ゼロを持論とする小泉純一郎元首相は11日、東京都内で講演し、「日本は自然エネルギーに恵まれている。エネルギー政策を大胆に転換していけば、脱炭素社会の実現は原発ゼロでも可能だ」と呼び掛けた。

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から10年となるのに合わせ、小泉氏が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」が主催したオンライン世界会議で講師を務めた。

 冒頭、小泉氏は「原発問題に与党も野党も、右も左もない」と強調。首相時代に原発政策を推進したことについて「事故によって自分の考えが間違っていたと分かった」と振り返り、「経済産業省と原発推進論者の考えをなぜ信じてしまったのか。安全、コストが安い、クリーンエネルギーという3大大義名分は全部うそだった」と話した。

 震災前に54基の原発が稼働し、国内全体の約3割の発電量を占めていたが、事故後に一時ゼロまで低下したと指摘。「再稼働するまで1日も停電しなかった。原発がなくてもやれることを証明してしまった。原発ゼロの実現は決して夢物語ではない」と訴えた。

 講演後、ともに脱原発を訴える鳩山由紀夫、菅直人の両元首相がサプライズで登場。鳩山氏から「政治の世界に戻ってもらい、脱原発で新党を立ち上げてもらいたい」とエールを送られると、大げさに驚いた表情を浮かべるなどおどけてみせる場面もあった。

© 株式会社神奈川新聞社