【大相撲】鶴竜 まさかの現役続行に強まる「逆風」 横綱の寿命は“残り1場所”

風当たりは強まっているが…

まさかの現役続行だ。大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が春場所(14日初日、東京・両国国技館)を休場することになった。今場所に進退をかけて臨む構えを見せていたが、9日の稽古中に左太ももを負傷して出場を断念。師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)には、引き続き土俵復帰を目指す意思を伝えた。ただ、地位にしがみついているだけにも見える姿に周囲の風当たりは強まるばかり。劇的な復活を見せない限り横綱としての“寿命”は残り1場所となりそうだ。

出場か、引退か。誰もが鶴竜の進退問題を二者択一と考えていた中、本人が出した結論は休場した上での現役続行だった。昨年5場所のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは史上初の「注意」を決議された。今年1月の初場所も持病の腰痛のため全休。今場所で進退をかける構えを見せていた。しかし、9日の稽古中に左太ももを負傷。11日には師匠と休場と進退についての話し合いが行われた。

陸奥親方は「今場所は出ないということ。まだ気持ちは切れていない。『(現役を)やめる選択もある』と言ったんですけど、本人は『まだやりたい』と言っていた」と説明。今後は横審で「注意」より重い「引退勧告」が決議されることも予想されるが「それはもう覚悟しています。(引退勧告が出た場合は)また本人と話をする」と神妙な様子で話した。

いずれにせよ、次の夏場所(5月9日初日、国技館)では今度こそ「待ったなし」で進退を問われることは不可避となった。ただ、ここから奇跡の復活を果たす可能性は限りなくゼロに近い。左太ももを痛める以前から、復帰への強い意欲がうかがえなかったからだ。鶴竜は2月、国技館で6日間の日程で行われた合同稽古に参加した。

しかし、相撲を取ったのは最初の2日間だけ。相手は実力者とはいえ、稽古で力を発揮しないタイプの小結御嶽海(28=出羽海)だった。その後は若手に軽く胸を出しただけで、最後の2日間は姿すら見せなくなってしまった。この様子を伝え聞いた親方の一人は「必死さが伝わってこない」。半年以上にわたる休場から復帰を目指す力士とは、とても思えない調整ぶりだった。

次の夏場所まで2か月足らず。今回の休場と現役続行を受けてネット上では「現役続行はあり得ない」「地位にしがみついている」などと厳しい意見が噴出している。ひとまずは“延命”を選択したものの、引退の瞬間は刻々と近づいていると言えそうだ。

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