西武・辻監督が「鈴木―若林」新1、2番コンビを試したワケ

期待の鈴木(左手前)を指導する辻監督

転ばぬ先の杖ということか。昨年の失敗に学んだ西武が最悪を想定しながら、代替え案を準備している。

ここまでオープン戦6試合を消化し4勝2敗の西武。若手3本柱(高橋光、松本、今井)の調整が順調に進み、最大の懸案である先発ローテーションにどうにか目鼻が付き始め、野手陣の方も若林楽人外野手(22=駒大)、ブランドン内野手(22=東農大北海度オホーツク大)の大卒ルーキー2人と首都高暴走による謹慎明けの3年目・佐藤龍のアピールが続いている。

スパンジェンバーグの来日が不透明、左ふくらはぎ違和感で出遅れた主砲・中村の調整も遅れる中、この3人に2年目・岸、5年目・鈴木将らを含めた下からの突き上げがチームに活気をもたらしている。

10日の中日戦(オープン戦=ナゴヤ)では金子―源田に代わる新オプション、鈴木―若林の1、2番コンビが計10打数4安打4打点4得点と機能し14―2と西武らしい超攻撃野球の火付け役となった。

この起用の目的はオープン戦で出ずっぱりだった1番・金子を休ませるための措置だった。しかし一方で、辻監督が「これからいろんな事が起こり得るからね。いろいろ試せるのも今の時期」と語ったように、昨年に引き続き西武打線の最大懸案となる「金子―源田」の1、2番構想が再び機能不全に陥った場合を見越して、新たな形を試しながら模索、準備する過程でもあった。

もちろん、ベースの2人に期待しながら最悪の状況だけは常に想定し、準備をしておかないと事が起きてからでは対応は間に合わない。結果、打線全体を弄って流れが滞ってしまった昨年の失敗から学んだもので、昨季3位に終わった西武は巻き返し態勢を着々と整えている。

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