鷹・小久保ヘッドの加入で戦力“底上げ” 上林、真砂らの活躍を元鷹コーチが分析

ソフトバンク・上林誠知(左)と真砂勇介【写真:藤浦一都】

真砂の守備は「トップクラス、他球団ならレギュラー」

3月26日に開幕するプロ野球。今季の興味の一つに、ソフトバンクが日本シリーズ5連覇を成し遂げられるかがあるだろう。オープン戦では、近年不振だった上林誠知外野手、期待されて9年目を迎えた真砂勇介外野手らがアピールを続けるなど戦力は充実一途。ヤクルト黄金期のリードオフマンとして活躍し、現役引退後はヤクルト、そして2019年まで5年間ソフトバンクでコーチを務めた飯田哲也氏は今季も“本命”に挙げている。

5年連続日本一に挑むソフトバンク。オープン戦では上林、真砂ら中堅選手の活躍が目立つ。飯田氏はその要因を次のように指摘した。

「真砂は当たれば大きいですが、三振も多かった。タイミングの取り方に課題があったのですが、オープン戦を見る限りは改善されてきているように見える。上林は侍ジャパンにも選出された選手。自信を持って迷いなくやれば、あれくらいやって普通。小久保ヘッドの存在が非常に大きいと思いますね」。

ホークスOBのレジェンド小久保裕紀氏が今季ヘッドコーチに就任。キャンプで野手に1日1000スイングを課したことが効果を発揮していると、飯田氏は指摘する。「やらされていたかもしれませんが、やったことが重要。上林選手はとても真面目で考え過ぎるところがあるのですが、『形よりも振れ』という小久保ヘッドの教えの効果が出ている。取り戻してきたのかなと思います」。

真砂は右のパワーヒッター。左キラーとして活路を見出せる可能性があるという。「能力が高く、守備はめちゃめちゃうまい。トップレベルです。他球団なら普通にレギュラーを獲れる選手だと思います」。

鷹を脅かすのは楽天「石井監督は協調性がある」

ソフトバンクの外野陣は柳田、グラシアルという大きな存在がいる。さらに昨年日本シリーズでMVPを受賞するなどブレークした栗原、他にもベテランの長谷川、2年目の佐藤直、柳町、2019年に86試合に出場した釜元らがひしめき合う。次から次へと有力選手が出てくる状況を、飯田氏は“伝統”と表現する。

「みんな、放っておいても練習をやるんです。小久保ヘッド、城島氏(会長付き特別アドバイザー)、(ロッテ)井口監督らOBがいい例を作ってくれたと思います。それを松田、長谷川、柳田、中村らがつないで、すごくいい流れができている。個々の能力が高いのに“自分が自分が”という人がいないんですね」

そんなソフトバンクに対抗できるのはどこか。飯田氏は楽天を挙げる。8年ぶりに復帰した田中将大投手は「絶対にやるでしょう」と活躍に太鼓判。レジェンド右腕加入によりチーム内に相乗効果が生まれていることも指摘する。

野手陣も辰己、小郷、小深田ら若手が順調に成長し、不足していた右打ちの野手として日本ハムから横尾をトレードで獲得した。ポイントは「捕手」としたが、田中将、涌井、岸、則本昂という経験値の高い先発陣が「捕手を育てていくのではないか」と見ている。

今季就任した石井一久GM兼監督については「協調性があり、自分で突っ走ってしまうタイプではない」と指摘。今季のパは「2強の形になるのではないか」と占った。(Full-Count編集部)

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