楽天の開幕ローテ6人目は“地味にすごい”男 「最低ラインを崩さないように」

楽天・瀧中瞭太【写真:荒川祐史】

瀧中は11日のロッテ戦で山口に3ラン浴びるも5回3失点

■楽天 8-5 ロッテ(オープン戦・11日・静岡)

楽天の強力先発ローテの最後の枠は“そこそこは必ず抑える男”が勝ち取りそうだ。2年目で26歳の右腕、瀧中瞭太投手は11日のロッテとのオープン戦(静岡)に先発し、20歳の4番・山口航輝内野手に3ランを浴びたが、失点はその一発のみ。5回3安打3四死球3失点にまとめた。

スピードという面では速球も140キロにも届かないことが多い。それでも100キロにも満たないカーブで緩急をつけスライダー、カットボール、フォーク、シンカー、ツーシームなど多彩な変化球を駆使して打たせて取る。何より制球の良さが生命線だ。

この日は3回2死一、二塁で山口に初球の真ん中低めの137キロ速球を左翼席へ運ばれた。「完全な失投を1発で仕留められたが、打たれたことは戻ってこないのでやるべきことをやろうと切り替えました」と語った通り、続く4、5回は立ち直った。

Honda鈴鹿からドラフト6位で入団し、1年目の昨年は9月に1軍昇格。8試合に先発して2勝(1敗)を挙げた。完璧とはいかないまでも、大崩れしない安定感がセールスポイントだ。

小山コーチ「ゲームメイクする能力がある」

石井一久監督は「6回3失点くらいで帰ってくる力はある」と評している。この日も指揮官は「3回の本塁打は、あまりにも軽く投げ過ぎた。1球の重みを反省してほしい」と苦言を呈しつつ、「相変わらずストライクを取ることに苦しむことはない。しっかりストライクゾーンの中で勝負できていた」とうなずいた。

小山伸一郎投手コーチも「コントルールがいい分、そろえ過ぎるとああいう形(被弾)になってしまうが、それを差し引いても、与えられたイニングはしっかりこなせる投手。ゲームメイクする能力がある。なんとかローテーション(の枠)を取ってもらいたい」と期待を寄せた。

瀧中本人も「0に抑えるのはなかなか難しいかもしれないが、計算が立つように6回3失点の最低ラインを崩さないようにやっていきたい」と自分の持ち味がよくわかっている。

昨年8試合の1軍登板では、全て同い年の下妻貴寛捕手とバッテリーを組んだ“愛妻家”でもある。この日もスタメンマスクをかぶったのは下妻で、5回には右越え適時二塁打の援護も受けた。

楽天の今季開幕先発ローテは涌井秀章、田中将大、岸孝之、則本昂大、ドラフト1位ルーキーの早川隆久の5人が当確。残る1枠を手中に収めつつある瀧中は他の5人に比べるとやや地味。しかし、意外にこういうタイプがすいすい白星を重ねていくかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2