脱原発で元首相5人が集結 盛り上がる“小泉新党”が夢物語に終わりそうなワケ

小泉氏(中)と笑顔で握手する鳩山氏(左)と菅氏

東日本大震災から10年たった11日、東京・永田町の憲政記念館で開かれた「原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議」に小泉純一郎氏(79)、鳩山由紀夫氏(74)、菅直人氏(74)の歴代首相が集結。細川護熙氏(83)、村山富市氏(97)も名を連ね、元首相5人の「脱原発新党」結党話が持ち上がった。

仰天発言は久々に表舞台に出てきた鳩山氏の口から飛び出した。

「小泉総理にはもう一肌脱いでいただき、政治の世界に戻って、脱原発で政党をつくってもらいたい」

福島原発事故から脱原発を訴える小泉氏は、政界から引退しているもののいまだに全国各地を奔走している。2014年の都知事選では、立候補した細川氏をサポートし、事実上、政治の世界に戻った“前歴”がある。脱原発を実現するために
“小泉新党”をつくった方が話が早いというワケだ。

鳩山氏の呼びかけには伏線があった。小泉氏は講演で、「日本の平和安全のために自然エネルギーを発展していこうという気持ちは与野党、右も左も関係なく進めていこうと鳩山さんと話をした」と明かしていた。純真な鳩山氏だけに小泉氏の決起と受け取ったのか、それとも自身がもう一花咲かせたいと思ったのか…。

さらに東日本大震災発生時に首相だった菅氏も先月、新著「原発事故10年目の真実」を出版したとあって、ここのところ宣伝も兼ねて、小泉氏とのコラボやテレビ出演など露出が多い。小泉氏、鳩山氏とのスリーショットで久々に無数のフラッシュを浴び、「結党会見みたいだな」とまんざらでもない様子だった。

会合後、脱原発の支援者の中では「新党はアリ」と可能性を探る動きもみられたが、小泉氏は「いずれ野党の皆さんが原発ゼロと言いだしたら与党に投票するかは疑問に思っている。原発ゼロは夢物語ではない」と話しており、自民党が原発ゼロに方針転換する日は遠くないとにらんでいる。

小泉氏の周辺も「進次郎氏がいるのに小泉さんが新党をつくることはないでしょう」と冷ややか。元首相5人が集まり、盛り上がった「小泉新党」構想だが、やはり夢物語で終わりそうだ。

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