MotoGP公式テスト4日目:ヤマハがトップ3を占める。トップタイムはビニャーレス

 3月11日、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットでMotoGP公式テスト4日目が行われ、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がトップタイムをマーク。2番手にフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)、3番手にファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がつけ、トップ3をヤマハライダーが占めた。

 テスト3日目に続き、ビニャーレスとクアルタラロがトップ3以内のタイムを記録したヤマハ。ビニャーレスは前日同様、セッション前半でコースインとピットインを繰り返したのち、8周ほどのロングランを行い、最後のコースインで1分53秒244のトップタイムを記録した。

 ロングランではほぼ1分54秒台のタイムを刻んだビニャーレスは「今日はグリップに頼らずに走ることに集中していた。路面はとても素晴らしいので、今、グリップがよくないときのことを言うのは難しいね。でも、バイクにはいい感じがある。(ロングランの)最後の周回のタイヤの感じもいい。もちろん、レースではまた違うだろうけどね」と語る。

 チームメイトのクアルタラロは、セッティングに重きを置いてテストを行っていたといい、トップから0.154秒差のタイムを記録しながらも「ペースの面ではいいけれど、正直、あまり満足はしていない」とコメントした。

2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

「15周したタイヤでファステストラップを記録した。ラップタイムは速い。でもそれはラップタイムであって、1ラップのアタックタイムじゃない。つまり、僕たちは、ペースとしてはいいものがある。はっきりしていないものを試しているときでさえ、速かった」

 このコメントからは、どこか得心しきれないクアルタラロの心境が見えるようだ。クアルタラロはここ2年の経験を踏まえ、苦戦の想定も語っている。

「グリップが低いサーキットでは苦戦するかもしれない。確かに、テストで1ラップのタイムは速いかもしれないけどね。過去2年、僕はテストですごく自信を持っていたんだよ。今、僕はレース前にそんなに満足しない方がいいと思う。満足はしていても、常に改善していきたいと思ってる」

 ヤマハ勢に続き4番手につけたのは、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)。3日間トップ3以内のタイムを記録し続けていたジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)はこの日、11番手だった。ミラーは20周以上のロングランを実施した。

「だいたいレース周回に近い周回を走ったよ。比較的よかったんだけど、10周目くらいに危ない瞬間があった。4コーナーでフロントのグリップを失うところだったんだ。1分54秒を安定して刻んだあとは落ち着いて、1分55秒前半で走っていた。でも最後の5周あたりで、リヤタイヤはかなりグリップが落ち始めた」

 一方、ホンダ勢はポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)の10番手が最上位。3日目に転倒を喫して首を痛めたテストライダーのステファン・ブラドルは4日目、45周を走行した。しかし、この日はサテライトチームのアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が9コーナーでクラッシュ。アレックス・マルケスはこの転倒により、右足の第4中足骨の亀裂が確認されたということだ。

2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)

 12番手につけた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は4日目、新しいシャシーと各アイテムとのコンビネーションを確認していたという。中上はここまでロングランなどを行わず、レギュラーライダーとしてホンダ機の経験が最も豊富なライダーとして様々なテストを行っていると見られる。

「予選のタイムを改善する必要はあります。エッジグリップの最大パフォーマンスをどう使えるのかですね。まだベストなパフォーマンスというわけではないので、理解しないといけません」

 KTMは4日目もトップ10入りを逃す状況が続いている。ただ、前日にフロントに負荷がかかりすぎている、と課題を述べていたブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)は、4日目にはこの点において、前進したと感じている。

「昨年のバイクと比べてみると2021年型マシンは、ベースのセッティングはほとんど同じ。今のところ、違いはとてもわずかだ。でも、特にここ2日間で、フロントに少し負荷がかかりすぎているということがわかった。そして、フロントの空気圧を少し抜いたら、バイクの動きがよくなった。それが大きな問題だったんだ」

「今日は間違いなく前進をしたと言えるよ。再びバイクにいい感触を持つことが重要だね」

2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

 ディフェンディングチャンピオンのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)はこの日、6番手タイム。アレックス・リンスは7番手。スズキはこれまでに2022年エンジンのテストなども実施しているが、タイムとしても上位につけるのではなく、平均的に8番手付近のポジションを維持し続けている。

 また、2021年シーズン、唯一コンセッション(優遇措置)の適用を受けるアプリリアは、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が5番手。4日目もトップ5以内に並んだ。

 2021年シーズンMotoGP開幕前の最後の公式テストは、3月12日、日本時間20時から翌3時にかけて行われる。

2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)
2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)
2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)
2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 ステファン・ブラドル(ホンダ・テスト・チーム)
2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2021年MotoGPカタール公式テスト4日目 バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)

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