今季の最優秀防御率の有力候補10人 前田とダルビッシュも選出

メジャーリーグ公式サイトでは5人のライターがそれぞれ各リーグから1人ずつ、合計10人の投手を最優秀防御率のタイトルを獲得する有力候補として選出している。昨季のア・リーグのタイトルホルダーであるシェーン・ビーバー(インディアンス)は選出されたが、ナ・リーグのタイトルホルダーであるトレバー・バウアー(ドジャース)はナ・リーグ5人のなかに含まれなかった。また、日本人投手では前田健太(ツインズ)とダルビッシュ有(パドレス)が選出されている。

ア・リーグからはビーバーと前田のほか、ゲリット・コール(ヤンキース)、ルーカス・ジオリト(ホワイトソックス)、タイラー・グラスナウ(レイズ)が選出。前田をチョイスしたジェイソン・カターニアは、前田について「ビッグネームを差し置いて前田を選ぶのはリスクがあるが、昨季の前田がどんなに素晴らしかったか知っていますか? ア・リーグ1年目の昨季、ツインズの右腕は防御率2.70、WHIP0.75、奪三振率10.80を記録し、サイ・ヤング賞投票2位にランクインしました。でも、まだそれほど注目されておらず、交換相手の剛腕リリーバー(=ドジャースのブルスダル・グラテロル)の陰に隠れている印象すらあります」と記している。

前田は90マイル後半の速球を投げることはできないものの、速球よりもスライダーとチェンジアップを多投し、被ハードヒット率(24.7%)と打球の平均初速(85.3マイル)はともにメジャーの上位7%に入る好成績。与四球率1.35と制球も良く、「xERA(=奪三振、四死球、打球の初速と発射角度などから算出される防御率の期待値)」はメジャー4位の2.93だった。これを踏まえ、カターニアは「昨季の好成績はフロックではない」と結論づけている。また、名手アンドレルトン・シモンズの加入でバックの守備力がアップしていることもプラスに作用すると考えているようだ。

ナ・リーグからはダルビッシュ以外に、ルイス・カスティーヨ(レッズ)、ジェイコブ・デグロム(メッツ)、マックス・シャーザー(ナショナルズ)、ブランドン・ウッドラフ(ブリュワーズ)が選出。ダルビッシュをチョイスしたマニー・ランダワは「2019年に防御率3.98に終わり、もう全盛期は過ぎ去ったのかと思いきや、昨季はサイ・ヤング賞投票で2位にランクインしました。何が変わったのでしょうか? 簡潔に言うと、彼は2019年の後半戦から威力の増したフォーシームを投げるようになり、カッターを改良し、もともと豊富だった変化球のレパートリーをさらに増やしました。制球力は劇的に向上し、9年前にメジャーデビューしたときのように、ほとんど打てない投手になりました」と記している。

カブスでの最初の2年間(2018~19年)は不本意な成績に終わったものの、11を超える奪三振率を維持。そこに改善された制球力とバリエーション豊富な変化球が加わり、攻略の難しい投手へと進化を遂げている。2019年後半戦からの大活躍を考えると、パドレスに加入した今季もエース級の活躍を見せる可能性が極めて高く、ランダワは最優秀防御率のタイトル獲得だけでなく、「キャリアで2度の2位を経て、ついにサイ・ヤング賞を受賞することになるかもしれない」と大きな期待を寄せている。

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