岡山市には総延長で延べ4000キロの用水路があると言われています。
南海トラフ地震が発生した時この用水路が“脅威”になるかもしれません。
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(岡山大学大学院/前野詩朗 特任教授)
「農業用の水路がたくさん縦横無尽に走っていますのでその水路を津波が早めに伝わって奥の方から浸水が始まる。そういった危険性もあります」
防災について研究している岡山大学大学院の前野詩朗(まえの・しろう)特任教授です。
前野特任教授の研究チームは2018年、南海トラフ地震で津波が発生した時の「用水路が与える影響」を解析しました。
(岡山大学大学院/前野詩朗 特任教授)
「東日本大震災においても津波が川を遡上(そじょう)して上流側から津波が溢れていったと」
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前野特任教授が解析した場所は、岡山市南部の児島湾と国道2号に囲まれた区域です。
東西には旭川と百間川(ひゃっけんがわ)が流れていて、干拓地のため「液状化」も心配されている場所です。
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区域にある用水路を赤色で示すと網目状に存在していることが分かります。
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前野特任教授によるシミュレーションによると地震発生の20分後には液状化で一部が浸水しています。そして発生から2時間半後には、第1波の津波が到達。
津波によって浸水していますが、注目したいのは区域の中では海から遠い北側でも浸水が始まったことです。これは用水路をさかのぼった津波が溢れ出たものです。
では、もしこの区域に用水路がないと仮定した場合はどうなるのでしょうか。
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用水路がない場合も同じく、まず液状化による浸水が始まります。しかし、その後津波が到達しても区域の北側や中心部ではまだ浸水は始まっていません。
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比較してみると、用水路があることでより早く浸水することが分かりました。
研究では最大で1.8メートル浸水する想定ですが、実際はこれ以上になる恐れも考えられます。
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(松木梨菜リポート)
「津波が来るときは海から離れる方向に逃げると思うんですが、用水路をさかのぼって溢れた津波が海とは反対方向から襲ってくる可能性が考えられるんです」
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用水路を津波がさかのぼる場合、どれぐらいの威力があるのでしょうか?
実験で、用水路に見立てた水槽に20センチほどの津波を人工的に発生させると、わずか20センチですが、底にある土などが巻き上がります。
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(岡山大学大学院/前野詩朗 特任教授)
「歩いてる人がひざぐらいまで水が来た時に、水流が何十センチかあると歩けないとか流されてしまうこともありますし、なるべく高い施設、3階以上があればベストかと思うんですけど」
岡山市でも津波から逃げるための「津波避難ビル」について検討を重ねたいとしています。
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(岡山市危機管理室/入矢泰成 課長補佐)
「数も足りないところもあるかもしれませんので今後、企業さんのご協力も得ながらこれからも増やしていきたいと思っています」