熱線で溶けた地蔵も 長崎、被爆75年資料展示

焼け跡で発見された地蔵を見る来館者=長崎原爆資料館

 被爆75年事業として2020年度に長崎市が収集した被爆資料が、平野町の長崎原爆資料館で展示されている。随時、展示内容を替えており、今回は被爆した地蔵や黒く変色した銀貨などをまとめた。24日まで。
 古写真や罹災(りさい)証明書、衣類など、同事業で寄せられた資料は計222点。「物だけでなく、一つ一つ違う物語を知ってほしい」と、職員が被爆者や遺族から資料や故人の話を聞き、説明を付けて展示している。
 展示中の収集品は7点。北松小値賀町在住の男性は、海軍の徴用兵だった父親が原爆投下後に焼け跡から持ち帰った地蔵を提供。顔部分が熱線で溶けている。「平和できれいになった長崎に戻してあげたい」と寄贈した。東京から訪れた弘中奈緒美さん(64)は「長崎から持ち帰り、守ってきた家族がいるという物語にじーんときた」と語った。
 市は新年度も引き続き資料の提供を受け付ける。問い合わせは市被爆継承課(電095.844.3913)。

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