新型コロナのワクチン接種 前向き7割、副反応へ懸念も 長崎県民意識調査

県内でも接種が進む新型コロナウイルスワクチン=諫早市永昌東町、諫早総合病院

 新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されて14日で1年となるのを前に、長崎新聞社は県民100人を対象にコロナに関する意識調査をした。約7割がワクチンの接種に前向きだった。コロナ禍の生活が続く見通しについては「1~2年程度」が34人と最も多く、「2年以上」の19人を合わせると過半数を占め、“長期戦”を予想する人が多かった。

 調査は今月1~5日、県内全域の「10代以下」から「70代以上」まで各年代の男女計100人を対象に、選択式と自由記述式を組み合わせた5問で実施した。
 ワクチンを巡っては、「打ちたい」の45人、「どちらかといえば打ちたい」の24人を合わせると前向きな人は計69人。副反応への懸念が多少あっても、感染拡大を防ぐ上で接種は不可欠と見る向きが多かった。
 コロナ禍の生活が続く見通しは、「半年から1年程度」が24人、「1年から2年程度」が34人だった。「2年以上」は19人で、自由記述の中には「3、4年」「10年ぐらい」との予想もあった。ワクチンが普及するまで一定時間がかかるという声や、普及してもコロナが完全に消えることはないため対策は長期化するという見立てがあった。
 マスク着用や社会的距離の確保、3密(密閉、密集、密接)回避など日ごろの感染対策に伴うストレスは、「感じる」と「多少感じるがしょうがない」で計51人だった。半面「慣れてあまり感じない」「感じない」も計47人と、個人的な対策が浸透している現状が改めて浮き彫りとなった。
 コロナへの恐怖心については、計78人が「どちらかといえば」を含め「怖い」と回答。持病や高齢に伴う感染後の重症化、差別や偏見、家族や勤め先で感染を広げることへの不安が目立った。

 夏に開催予定の東京五輪・パラリンピックは、海外からの一般観客受け入れが見送りとなる見通しだ。東京五輪について「どちらかといえば」を含め「開催すべき」と思う人は計32人にとどまった。一方、中止や延期が望ましいと考える人は計56人に上り、県民、国民の根強い慎重論をうかがわせた。

◎安全性には不安

 「打ちたい気持ちと怖い気持ちが半々」(雲仙市・80代自営業女性)-。新型コロナウイルスに関して県民100人を対象に長崎新聞社が実施した意識調査からはコロナ禍収束への強い願いとともに、ワクチンへの期待と不安が交錯している現状が浮かび上がった。
 ワクチンは人工遺伝子を使う新技術を用い、異例の速さで実用化された。国内では米ファイザー製が承認され、2月に医療従事者の接種が始まった。4月から65歳以上の高齢者も始まる予定。これまでの接種で重いアレルギー反応であるアナフィラキシーの発症報告もある。
 意識調査では、ワクチン接種を望まない人と「どちらともいえない」と回答した人は計31人と一定数いた。西海市の70代自営業女性は「良いものか悪いものか分からない」として、安全性や有効性に関する丁寧な情報提供を求めた。「インフルエンザワクチンぐらいに一般化し安全が保証されれば打っていい」(西彼長与町・10代男子学生)と様子見の人もいた。
 コロナ禍の生活が続く見通しについては、「(コロナは)ずっとなくならないと思う。付き合っていくしかない」(新上五島町・30代団体職員男性)との受け止めや、「1年以上続くと経済にさらに深刻な影響が出る」(佐世保市・40代会社役員女性)と収束への切実な思いが聞かれた。
 ワクチンは供給量に限りがあり国際的な争奪戦となっている。コロナ禍の生活が「3、4年は続く」と答えた長崎市の70代無職男性は、輸入に依存するワクチンの国産開発に期待。「変異株が出始めているので、新たなワクチン開発と感染拡大のいたちごっこにならないか心配」(対馬市・40代男性会社員)との意見もあった。

 


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