「優待を楽しみたい」株初心者の情報収集方法、上限の決め方は?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、54歳、会社員の女性。株に興味が出てきて、好きな飲食店などの株主優待を楽しんでみたいという相談者。初心者はどのように情報収集すればいいのでしょうか。また上限はどのように決めればいいのでしょうか。FPの伊藤亮太氏がお答えします。

令和1年に、老後資金について本連載で伊藤亮太さんに相談にのって頂きました。老後資金を増やすために、投資用マンションを令和1年に購入し、令和3年1月でローンが終了しました。アドバイスを受け、令和1年からつみたてNISA、iDeCoに加入、ふるさと納税も令和2年から始めました。夫の収入は当てにせず、今後希望としては好きな飲食店等の株を購入し株主優待を楽しみたいのですが、株についてよく分からず、初心者は何を勉強し、私の収入内でどの株に毎月いくら位投資してもいいのか知りたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、54歳、会社員、既婚

・同居家族について:

私(54歳)、看護師。月収33万・ボーナス年間140万

夫(62歳)、会社員(再雇用)。月収13万・ボーナス年間20万

夫婦ともに両親健在。今後介護に携わるか現時点では不明

(子ども2人、27歳・25歳。ともに別居)

・毎月の世帯の手取り金額:

私33万円、本人用投資マンション収入7万4,000円

夫:13万円

・毎月の世帯の支出の目安:

私、16万4,000円

夫、詳細不明だが分かる範囲で3万2,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:0

・食費:5万円(私負担)

・水道光熱費:1万8,000円(夫負担)

・保険料:

私、貯蓄型保険3万5,000円、医療保険1万5,000円

夫:夫自身で加入しているが詳細不明

・通信費:私4,000円、夫:8,000円

・車両費:ガソリン代7,000円/月(夫負担)、自動車税5万5,000円/年間

・お小遣い:私3万円、夫不明

・その他:私(日用品1万円、私美容院1万8,000円、投資用マンション8万2,000円、ふるさと納税令和2年11万円、 iDeCo1万2,000円・つみたてNISA3万3,000円)

夫(詳細不明。固定資産税住居15万)

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:私13万5,000円。令和3年1月に投資用マンションローンが終了したので、今後毎月7万4,000円の家賃収入が入る予定。夫の貯金額は不明。

・ボーナスからの年間貯蓄額:100万

・現在の貯蓄総額:私570万円。夫不明(2年前退職金1,000万)

・現在の投資総額:私つみたてNISA55万円、iDeCo20万

・現在の負債総額:0


伊藤:ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。いつもご相談ありがとうございます。今回は株主優待を目的に株式を購入したいというご相談ですね。

株式投資初心者の方の場合、そもそもどういった株主優待があるかわからないと思います。まずは気になる会社が株主優待を行っているかどうかを調べてみましょう。会社から調べる場合には、ヤフーファイナンスなどでも株主優待を実施しているかどうか調べられます。また、インターネット証券の場合には証券口座部分から各会社の銘柄コードを検索部分に入れていただくと、株価や会社の業績の他、株主優待にどんなものがあるかも調べることができます。できるだけお金をかけたくないということであれば、インターネットを活用して情報収集をされるとよいと思います。

「会社四季報」や各出版社の株主優待ムックを見てみよう

一方で、会社名からではなく、そもそもどんな優待があるのかを調べていきたいということでしたら、会社四季報を一冊お手元においてはいかがでしょうか。ちょうど3月に発売されますから、最新号をもとに上場企業の状況を確認していくとよいです。細かいことは抜きにして、優待だけ知りたいのであれば、四季報の最後の方のページに優待が掲載されている一覧表があります。最新の優待には何があるのか、どんな会社どんな優待を出しているのかが一目瞭然で分かるようになっていますから、活用されるとよいです。

ただし、四季報は字が小さく、また株価に対してどの程度の優待価値があるかなど、詳しくご自身で調べるには若干手間取るかもしれません。そうした手間を省き、できるだけお得な優待のみを知りたいということでしたら、出版社各社が出している株主優待の最新版のムック本などを参考にされるとよいと思います。そうしたムック本には、株価に対して優待や配当の利回りがどの程度か、何がお得なのか、といったことがまとめられています。

人気株は購入タイミングに注意

どれを活用するかは人それぞれですが、投資初心者でわかりやすいのはムック本かもしれません。ただし、注意点は、そうした本をもとに優待狙いで株式を購入する人は多く、買おうと思ったころには既に株価が上昇していたというオチがあることもしばしばあります。そのため、株主優待時期を見定めながら、先に買い回りができるように、例えば3月決算の株主優待であれば1月に買うなどタイミングを決めて買っていくのも一つの方法です。

また、優待利回りの高い企業の株価は、上昇・下落に一定のセオリーがある場合もあります。優待時期が近くなると株価が上がるといった現象です。そうしたクセも知っておくとさらにどの時期に買っていくのが効率的か、効果的か判断もできるようになると思います。

投資の上限の決め方は?

次に、どのぐらい投資をしてもよいものか。これはなかなか判断しづらく、ご本人の投資に対する許容範囲がどの程度あるかによって変わってきます。既に不動産投資を行われているため、不動産の比率が資産の中で高まっていると思います。そのため、株式や預貯金の比率を高めバランスをとっていくことが望ましいと考えます。

現状ではNISA、iDeCoあわせても預貯金額や不動産投資額に比べて低いため、例えば年間で100万円分は株式投資関連に充てる、うちおよそ50万円は個別株式へ投資するといった具合に行ってみてはいかがでしょうか。この他、貯蓄額のうち例えば半分は預貯金で確保する、残りを投資部分に回すといったスタイルであったり、3分の2は貯蓄へ、3分の1は投資へといったスタイルでもよいと思います。

また、欲しい株式があれば、年間で枠を決めてその中で買っていくのでもよいと思います。ローンもないことからリスクはある程度とれるものの、老後資金の軍資金も確実に確保する必要があります。お得な優待をもらいつつ、楽しめる投資としていくことが望ましいでしょう。決して無茶なことはしないでくださいね。

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