【人生を変えることば選び】「きみなら大丈夫!!」旅立つ人の背中を押してあげよう

松本秀男氏

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】今年も卒業シーズンとなりました。ちょうど昨年の今ごろは、コロナ対策で学校が臨時休校になり、卒業式の縮小や延期、または中止という話が飛び交っていました。今年も縮小傾向は変わらないものの開催はされる学校が多いようで、児童生徒、学生のみなさんの素晴らしい思い出になればと願っております。

また、人事異動も多くある季節。旅立つ人たちの心に希望や勇気がともるような、そんなことばがけをしたいものですね。もっとも、今どきの人事異動は、部署が変わっても勤務は自宅で変わらず!なんてこともあるようで、刺激が足りないのか楽なのか分からないとの意見も(笑い)。

旅立つ人たちを応援することば選びとしては「根拠のない確信」のようなことば。旅立つ人の素晴らしさや、その人の未来の素晴らしさを「私は分かっている」、もっと言うと「私はあなたの未来を知っている」くらいのことばがオススメです。

なんだか予言者のようですが、ことば自体はシンプル。「あなたなら大丈夫」「きみならできるよ」――そこに根拠はいりません。「私はそう思う」という確信。相手の今現在の知識やスキルがどうこうではなく、「私はあなたの素晴らしさを知っている」という、その人自体の存在と可能性の素晴らしさを確信していることが伝わります。

言われたほうもうれしいですよね。「きみなら大丈夫」と言われると、心の底のほうから、あたたかなチカラが湧き上がってきます。

英語でも同じような応援のことばがあります。「I know you can do it!(きみならできるよ!)」なんてイイことばですね。「I hope~(望む)」でもなく「I expect~(期待する)」でもなく「I know~(知っている)」。

かく言う私も、同じようなことばを、高校の担任の先生から言われたことがあります。大学受験に合格してから、その先の相談をしていた時だったと思います。先生はいつものひょうひょうとした声で、「まーつもとなら大丈夫だろう」。さして励ますでもなく本当に普通のトーンで言ってくれました。自分では大丈夫などとは思えなかったそのころでしたが、なんだか勇気が湧いてきたのを覚えています。

「期待してるよ!」はこちらの要求のようで相手の重荷になることもあります。「きみなら大丈夫!」と旅立つ人の背中を、ポンと叩いてあげたいですね。

☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。

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