ロッテ佐々木千隼も「そろそろ徳俵」 元コーチが語る飛躍への“特効薬”は

ロッテ・佐々木千隼【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

小林雅英氏「喜怒哀楽をマウンドで出してほしい」

ロッテ時代に“幕張の防波堤”の異名を取るなど日米通算234セーブを挙げた小林雅英氏は2015年から4年間コーチとして古巣を指導した。現在のロッテ投手陣には当時、薫陶を受けた投手が数多くいる。2016年ドラフト会議で1位指名された佐々木千隼投手もその一人。なかなか殻を破り切れない右腕に小林氏は「喜怒哀楽をマウンドで出してほしい」と望んだ。

2016年秋のドラフト会議で、桜美林大から外れ1位指名としては最多の5球団から指名を受けた佐々木千隼。即戦力として期待は高かったが飛躍できずにいる。ルーキーイヤーの2017年の15試合登板、4勝が最多で、翌18年に右肘手術を受けた影響もありその後は低迷。昨年は5試合登板にとどまった。

小林氏はまず「思考」を変えることが大事と説く。「どちらかというと淡々と野球をやる印象。よく『喜怒哀楽をマウンドで出してほしい』と言っていた」と振り返る。

ピンチを切り抜けた時、最後の打者を打ち取ったことよりも走者を許したことを気にかけて首をかしげてベンチに戻ってくることが多かったという。「それは全然違うと思います。自分で自分を乗せていけばチームメートも乗っていく。ピンチで三振取ってガッツポーズして帰ってきたらベンチも盛り上がる。さあいこうとなりますよ」。

今季は5年目。結果を残せなければいけない立場になったとし、こうエールを送る。「もう中堅クラス。そろそろ徳俵でしょう。マウンドには『喧嘩しに行っているんだよ』と彼には言っていた。それが表現できるようになれば。元々いいものを持っていますから」。

今季13年目の大嶺祐太には「崖っぷちで力を発揮してほしい」

今季13年目を迎える大嶺祐太も思い出深い投手だという。2006年ドラフト会議で八重山商工からドラフト1指名された“マー君世代”。2015年には自己最多の8勝を挙げるなどしたが2019年1月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、育成契約に。昨年8月に支配下登録された。

小林氏にとっても苦い思い出があるという。2017年6月18日の巨人戦(東京ドーム)、大嶺は延長12回に亀井にサヨナラ3ランを喫した。「本来は投げさせる予定ではなかった。無理をさせてしまったと思っています……」

今季が15年目。「崖っぷちで力を発揮してほしいですね」。崖っぷちに立たされた男たちの奮起を小林氏は期待している。(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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