初実戦の鷹・田中正義 全球150キロ超えの〝弾丸ストレート〟にどよめき

田中の剛腕に観衆は驚いた

5年目の覚醒へ――。ソフトバンク・田中正義投手(26)が14日の春季教育リーグ・中日戦(タマスタ筑後)で今季初実戦に臨んだ。8回から2番手で登板。わずか2球で二死を奪い、1イニングを無失点に抑えた。

糸を引くような真っすぐが右打者のアウトローへ伸びた。最速は153キロを計測。それでも力感はなかった。「周囲にはそういうふうに見えると思いますが、あれが今の僕の〝全力〟。一番いい球がいく投げ方」。マウンドでの落ち着きと脱力した投げ方からはマッチしなかったが、投じた直球7球すべてが球速150キロ超え。弾丸のような真っすぐがミットに収まるたびに、観衆がどよめいた。

2016年ドラフト会議で5球団競合の末、ソフトバンクに入団。度重なる故障に苦しめられ、プロ4年間で未勝利に終わった。だが、昨秋には自己最速156キロをマーク。課題の変化球も改善し、二軍クローザーを託されるまでにパフォーマンスを上げてきた。

春季キャンプは若手主体のB組だったが、首脳陣も今季の田中を「一軍戦力」と見ている。倉野ファーム投手統括コーチもこの日「実戦1試合目だったが、今日も本人はアピールする気満々でマウンドに上がっていた。僕らも今年はそこ(一軍)で投げてもらうつもりでいる」と、高い期待感を改めて示した。

「技術はそう簡単には上がらないものだと思います。でも、メンタルの成長は今、すごく実感できています」。オフにそう語っていた剛腕には、マウンドで威圧感すら漂い始めている。

© 株式会社東京スポーツ新聞社