八方除けに、サボテンどうぞ 寒川神社参道の園芸店が新商品 神奈川

「八福さぼてん」を販売している千秋園の原社長(左)と妻の静華さん=寒川町

 寒川町宮山の園芸店「千秋(せんしゅう)園」が、八角形のサボテンを使った商品「八福さぼてん」を販売している。店はあらゆる災厄を払う「八方除(よ)け」の守護神として知られる寒川神社の参道に立地。八方除けの願いと、とげや針で邪気を払う植物とされるサボテンを掛け、日本工業大学大学院(東京都)の院生グループと共同開発した。

 八福さぼてんは、ピンクや赤、オレンジ、黄色をした品種「緋牡丹(ひぼたん)」を使用。先端の球状部分が八角形になっている。鉢には縁起の良い木製升を使い植栽。升の前面には、町内を流れる川を寒川神社の八方除けに用いられている八角形で囲んだ同町のブランドマークをあしらっている。

 花卉(かき)栽培が盛んで「花のまち」と称される同町。同園の原千秋社長(48)と妻の静華さん(48)は常々、花卉産業や地域の活性化へ向け、新しい名物がつくれないかと考えていた。

 商品化が進んだのは、中小企業診断士を目指している同大学院の院生グループが昨年10月、同園で企業実習を行ったことがきっかけ。原社長の相談を受けた院生グループは、店で入荷している緋牡丹に着目。八方除けを象徴し、地域おこしにもつながる縁起の良い商品の開発を提案した。

 同町も町のブランドマークを活用してもらい、地元中小企業の新たなチャレンジを応援しようと、商品化を後押し。産官学連携による新商品が生まれ、今年の元日から販売を開始した。原社長は「町の新たな名物としてさまざまな形で地域に波及していけば」と期待を込める。

 コロナ禍で屋内に滞在することが多くなっている折、静華さんは「部屋のインテリアとして身近に置いて観賞し、癒やしを感じてもらえれば」と話している。

 1鉢2千円(税別)。問い合わせは、千秋園電話0467(75)5581。

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