レッドブル・ホンダ分析:開発が間違いでなかったことを証明したテスト最終日。最速タイム記録も、慎重な姿勢

 プレシーズンテスト最終日、レッドブル・ホンダは前日までとは異なるテストプログラムを消化していた。初日にマックス・フェルスタッペンが新車のデータ取りを行い、2日目にセルジオ・ペレスがレースシミュレーションを無事完了。3日目は前半と後半のセッションでドライバーを変え、それぞれセットアップを煮詰めた後、予選シミュレーションを行った。

 午前10時から開始された前半セッションを担当したのはペレス。このテストで初めてC4タイヤを履いて、1分30秒187のトップタイムマーク。これは前日にバルテリ・ボッタス(メルセデス)が記録した1分30秒289を上回る今年のプレシーズンテスト最速タイムだった。

 テストを終えたペレスはこう振り返る。

「レッドブル・ホンダのマシンは多くの面でいままで乗ってきたマシンとは大きく異なる。運転方法が大きく異なるので、そのスタイルに適応しなければならない」

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターもそのことを認めている。

「昨年まで異なるチームの車体やパワーユニット(PU)に乗っていたので、そことの差をいろいろと話を聞きながらやっていました。すぐに対応できるところとできないところがありますが、我々にとってはいろいろと勉強となることで、いいところはそれを実現できるようにやっていきたい」(田辺)

2021年F1プレシーズンテスト3日目 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

 午後3時から開始された後半セッションでRB16Bのステアリングを握ったフェルスタッペンも、この日はピットインとピットアウトを何度か繰り返していたところを見ると、4時間のセッションのうち、最初の3時間はC2とコントロールタイヤを履いてのセットアップ作業。残り1時間を切ったあたりから、軟らかめのタイヤとなるC3とC4タイヤを履いてのパフォーマンスランを行っていた。

 ベストタイムは全体のトップタイムとなる1分28秒960。しかし、最後のアタックでは1コーナーでニキータ・マゼピン(ハース)に引っ掛かり、アタックを途中で断念。したがって、現時点ですでにRB16Bには1分28秒960以上のポテンシャルがあることは明白。

 田辺TDも「本当の戦闘力は、開幕戦にならないとわかりません。予選で速さが、そしてレースでは強さが見えてくるでしょう」と前置きしつつも、「ただ、テストをトップで終えたということは、ここまで開発してきたことが間違いできなかったという意味で、さらにモチベーションが上がる結果だったと思います」と、テスト終了後にポジティブなコメントを発していた。

 トップタイムでテストを締めくくったフェルスタッペンも慎重な態度を崩さない。

「いいテストだったけど、それで何かが保証されたわけではない。勝つためには、常に改善を怠ってはいけないから」

 しかし、最後にこう語った。

「マシンの感触が全体的にいいことは確か。だから、レースに臨むのが楽しみだ」

 ホンダにとってF1ラストイヤーの2021年は、これまでとは少し違った雰囲気に包まれながら、開幕戦を迎えようとしている。

2021年F1プレシーズンテスト3日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト3日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

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