選挙が近くなると投票率の話題がメディアに上ります。
例えば国政選挙、地方選挙に関わらず、一般的に投票率が低下傾向にあり、選挙権が18歳になりましたが、若年有権者層の投票率はいまいち上昇しない等々です。
そんな投票率についての話題ですが、男女の投票率の差についてはあまり見かけることがないので、今回は男女別の投票率について見ていきたいと思います。
この男女の投票率を直近の国政選挙である参議院選挙における時系列グラフでみると下記のようになります。
全体的に見て男女の投票率に大きな差はないことがわかります。
このグラフを見ると近年の選挙においては男性の投票率のほうが高い傾向にありますが、それ以前の選挙では女性の投票率が高いことがわかります。
ただ、選挙は各政党、各候補者の得票数で決まりますので、性別ごとの投票率を比較することも大切ですが、男女の得票数で比較をするとどのようなグラフができるかについても見てみます。
男女の投票数で作成したグラフが下記になります。
投票数で男女を比較すると、女性の投票者数は男性投票者数よりも多いことがわかります。
直近の国政選挙投票率で比較をすると女性のほうが男性よりも低い傾向にありますが、投票者数は男性よりも多くなることがわかります。
これは女性有権者数が男性有権者数よりも多いことが影響していそうです。
実際、2020年 総務省の住民基本台帳データを利用して、市区町村別に女性が多い市区町村を赤色、男性が多い市区町村を青色で塗り分けると、多くの市区町村では女性の人口が男性よりも多いことがわかります。
国政選挙の投票者数で男性と女性を比較すると100万票以上女性のほうが多い傾向にあります。この投票数の差を見ると、女性票がいかに大きいかがわかります。
得票率だけで比較をすると男性のほうが高いですが、選挙の結果を左右する投票数で比較をすると、圧倒的に女性の方が男性よりも多いことがわかります。
選挙では無党派層、女性票が勝敗を左右すると言われますが、男性と女性の得票数を比較しただけでも、その理由の一部が見えるような気がします。
しかしながら、最近の国政選挙で最も多かったのが投票を棄権した人であることを考えると、選挙の結果にきちんと民意が反映されているかといえば疑問を感じる投票率です。
近年の国政選挙における有権者の投票政党、棄権者数を一枚にまとめたものが下記になります。
このグラフを見ると多くは選挙を棄権した有権者であることがわかります。
新型コロナウィルス感染症に対する国の対応について、日本政府対応と海外政府の対応とを比較するとさまざまな違いがあります。
今年執行予定の第49回衆議院選挙では、昨年からの各政党の教育対策、雇用対策、医療環境等の対応を思い出しながら、投票する人も多くなることが予想されます。
実際に投票率がどの程度になるのかは現時点ではわかりませんが、遠くに感じていた政治がとても身近な問題であることに気づいた人が多くなったように思います。そのためこれまでの有権者の投票行動に変化があるかもしれません。
今回はあまり見かけることのない、男女別の投票率、そして投票者数の比較について見てきました。