D52の線路25メートル延伸 山北鉄道公園再整備へ・神奈川

SLのD52の線路が25メートル延伸し、周辺の遊具なども更新される山北鉄道公園=山北町山北

 かつて旧国鉄の線路を走り「デゴニ」の愛称で親しまれた蒸気機関車「D52」が保存されている山北鉄道公園(神奈川県山北町山北)を巡り、同町は16日、2024年度を目標にD52の線路延伸と合わせて公園内を再整備する方針を示した。全国的にも数少ない走るSLによる観光客の呼び込みに加え、子どもたちの遊び場として充実を図る。同日の町議会全員協議会で明らかにした。

 町の構想では現在、保存されているD52の線路約12メートルを後方にさらに25メートル延伸する。車体後方には現在、小学生向けの遊具が設置されているが、車体前方の広場に移設した上で幼児用の小さな遊具に更新する。遊具の周りには緩衝性のあるゴムチップ舗装も施す。

 延伸した線路には全て踏み切り板を設けるほか、公園の周囲を流れる用水路から水を引いて遊水空間も設ける。町は早ければ21年度中にも関連事業費を補正予算案に計上する予定で、22年度からの本格着手を目指している。D52は平塚市などでも保存されているが、コンプレッサーの圧縮空気で“走行”できるのは同町の車両だけ。しかし、線路が短く運転技量が求められ、月1回の点検走行では鳥取県内から運転士を招いている。

 町は「将来的に体験乗車などできるようにして観光の目玉になれば。町内外からも3歳から6歳くらいの子どもたちが集まる公園にしたい」と説明している。

 1944年に製造されたD52は勾配の激しい御殿場線を走り続けたが、同線の電化に伴い引退後は70年に町内に移設された。

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