震災語り部「まず自分の命守って」 横浜で対策技術展

震災を語り継ぐことへの思いや継承の意義を語る武山ひかるさん(中央)ら=横浜市西区

 災害で得られた知見や被害軽減のアイデアを紹介する「震災対策技術展」が17日、横浜・みなとみらい21(MM21)地区のパシフィコ横浜で始まった。25回目の開催を記念したシンポジウムでは、東日本大震災や阪神大震災の教訓を語り継いでいる若手が自らの被災経験や活動への思いを共有し、「まずは自分の命を守って」と訴えた。18日まで。入場無料。

 シンポに登壇したのは、10~20代の語り部3人。東日本大震災当時は小学4年で、宮城県東松島市で津波に遭った武山ひかるさん(20)は「つらい経験だけど、話せば誰かを守る一つの手だてになると思い、語り部を始めた」と語った。大学2年となり、群馬県に暮らす今も活動を継続。新たな試みとして絵本を自費出版し、次世代への継承にも力を入れていると明かした。

 防災教育普及協会は専門家が提唱している「3月11日を『防災教育と災害伝承の日』に」の取り組みをPR。東北の被災各地にある伝承施設を紹介したコーナーもある。

 災害用の製品では、停電や断水に備えるグッズに注目が集まった。地下に整備する大型タンクに仮設トイレを保管できる施設は、防災関連の商品開発が盛んな高知県からの提案。災害時はトイレを取り出して地上に設置し、排せつ物をタンクにためられるようにしているという。

 「マンション防災士」として活動する災害対策研究会の釜石徹事務局長はセミナーで「コロナ時代に必要なのは『在宅避難』だ。1週間以上の停電を覚悟してほしい」と呼び掛け、備えの要点を伝授した。

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