虎の怪物新人・佐藤輝「開幕6番プラン」は〝宝の持ち腐れ〟 他球団は3番推奨

3戦連発となる6号ソロをマークした佐藤輝

もはや手がつけられない。阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(22=近大)が17日の西武戦(メットライフドーム)に「6番・右翼」で先発出場し、2回に3戦連発となる6号ソロをマーク。ドラフト制導入後のNPBオープン戦新人最多本塁打記録をあっさり更新した。矢野監督は怪物新人を6番打者として開幕スタメンに起用する方針を示唆しているが、複数の他球団関係者からは「もっと早い打順で使った方が怖いのに」との声も出ている。

またも衝撃的な一撃だった。2回の第1打席、カウント1―1から同級生右腕・今井の150キロ直球を佐藤輝はフルスイング。強烈な打球音とともに舞い上がった打球は左中間席上段へ消えていった。

オープン戦で12球団トップの本塁打数を誇る22歳は「打てたことはうれしいですが、一喜一憂せずに次へ向けて準備したい」と涼しい顔。これには矢野監督も「本当に見事。毎日毎日びっくりさせられる」と目を丸くするばかり。「もうシーズンで(打ってくれれば)いいのに」と本音交じりのジョークも飛び出すなど終始、上機嫌だった。

春季キャンプで行われた実戦では主に3番を任されてきたが、9日の広島戦(甲子園)以降は6番で固定。矢野監督も佐藤輝の開幕3番起用については「現状あまり考えてない」と否定的な見解を示している。開幕オーダーが固まりつつある現在は近本―糸原―佐藤輝と左打者が3人続くことを避けたい思惑もあるのだろうが、何より経験の浅いルーキーに過度な負担をかけることを避け、気楽に打たせたいという指揮官の親心も見え隠れする。

だが連日、黄金ルーキーの一挙一動に目を光らせる複数の他球団関係者からは「3番で使った方が怖いのに…」という声が聞こえてくる。セ球団スコアラーは「あのパワーに加えて対応力。彼はモノが違う。ウチとしても3番で使われた方が絶対に嫌だよ。そもそも相当に、いい意味で図太い性格と聞いてるし、クリーンアップの重圧に押しつぶされるようなタマじゃないでしょ」。別球団の関係者も「長打力と走力を兼ね備えた佐藤輝は上位においてこそ能力をフルに発揮できるはず。今の阪神なら(6番では)前が詰まってせっかくの佐藤輝のスピードが生かせないよ」と語る。

昨季の阪神は主に3番・サンズ、4番・大山、5番・ボーアで試合に臨んだが、ボーアが著しく鈍足だったため、6番以降の打者が長打を放っても〝各駅停車〟でしか進塁できず、機動力をフルに発揮できなかったケースが多々あった。

50メートル6秒ジャストの俊足を誇る佐藤輝を各駅進行させるのは宝の持ち腐れ。近本ら俊足のランナーと上位で組み合わせてこそ持ち前の長打力もフルに生かせる…というわけだ。

佐藤輝は既に照準を公式戦での戦いに向けている。超高性能なスペックをあますことなく活用できるかはベンチワーク次第だ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社