王者WSRが2021年仕様『BMW330i M Sport』披露。チーム・ハードも新型クプラを公開

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で2020年もチーム王者に輝き、マニュファクチャラー部門で5連覇を達成したチームBMWの名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)が、3台の『BMW330i M Sport』を飾る新しい外観の2021年仕様カラーを披露した。また、今季からクプラ・レーシングの一員としてマシンスイッチを予定していたチーム・ハードも、完成した新型『クプラ・レオンBTCC』の実車を初公開している。

 不動のエース、コリン・ターキントンを筆頭にトム・オリファント、新加入ステファン・ジェリーの3台体制で臨むWSRは、マットブラックのベースに伝統的なBMW Mストライプを採用した、2020年からの正常進化版とも言うべきリバリーを披露。

「2020年シーズンは従来のスケジュールより1カ月遅れで終了したこともあり、我々WSRとチームBMWにとっては非常に厳しい冬の期間となったが、それでも引き続きBMW330i M Sportの包括的な開発プログラムに取り組むことができた」と語るのは、チーム代表を務めるディック・ベネットだ。

「すでに先週にもシルバーストンで2021年のテストプログラムを開始した。マシンに追加したアップグレードのほとんどが望ましい効果をもたらしたことに一安心しているし、ニック・モス・デザインによって作成された新しいカラーリングは素晴らしい出来栄えだ。週明けに開催されるブランズハッチ合同テストで3台がトラックに揃う瞬間が待ちきれないね」

 一方、トニー・ギリアム率いるチーム・ハードは、長年シリーズに投入してきたフォルクスワーゲンCCからついにマシンスイッチを決断し、2022年以降に導入されるBTCC共通ハイブリッド機構を考慮して設計された、最新世代NGTC仕様の『クプラ・レオンBTCC』をラウンチした。

 すでにジャック・ゴフ、アーロン-テイラー・スミス、グリン・ゲディーの3名を起用するとアナウンス済みだが、チームは2021年シーズンに4台のマシンを走らせる計画で、シェイクダウンも数週間以内に開始する予定だという。

前年度同様、マットブラックのベースに伝統的なBMW Mストライプを採用した
2021年のレースドライバーを務めるコリン・ターキントン(右)、トム・オリファント(左)、そして新加入のステファン・ジェリー
本拠地ファクトリー内にずらりと並ぶトロフィー。この3台でさらに棚を埋めることになるか

■新型モデルで「最前線に返り咲きたい」とエースのゴフ

「チームにとってなんて特別な日だろう。おそらく我々の歴史上で最大の日になった」と、新型マシン初号機完成の喜びを語ったギリアム代表。

「いまだ新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが続いており、製造プログラムの速度を落とすのが最善の方法だった。最初の数カ月は非常に困難な状態だったが、今では作業も軌道に乗り、こうして新しいクプラ・レオンBTCCをトラック上に送り出す準備ができている」と続けたギリアム代表。

 過去2シーズンをチームのエースとして戦い、2019年にはすでに旧態化していたフォルクスワーゲンCCで優勝も飾っているゴフは、この新型モデルで「最前線に返り咲きたい」と意気込みを語った。

「過去2シーズンの戦績は、トニーとチームが費やした努力を反映したものとは言えなかった。でも新型クプラ・レオンとこの新プロジェクトは、フィールド上で僕らのプレゼンスを向上させる重要なピースになるだろう」と意欲を示したゴフ。

「幻想を抱いているわけではないが、上昇気流に乗るための準備を続けており、努力にふさわしい結果を得るためにこれまで以上に決意を固めているよ」

 また、シリーズオーガナイザーのTOCAは、すでにアナウンス済みだった2021年の改訂版カレンダーにさらなる小変更を加え、第2戦と第3戦の日付を変更。

 5月の開幕戦スラクストンは無観客での実施が決定しているが、政府綱領では5月17日までファンの動員を制限する方針が打ち出されていたため、その週末に日程の掛かっていた第2戦スネッタートン300を5月15~16日から、6月12~13日へとスライド。その日程に入っていた第3戦ブランズハッチ・インディを、6月26~27日へと移動させている。

先行披露されていたレンダリングに続き、完成した新型『クプラ・レオンBTCC』を公開したTeam HARD(チーム・ハード)
すでに3名のドライバーを発表済みだが、チームは今季中に4台目のマシン投入を計画している
FK2ホンダ・シビック時代はポールポジションの常連だったジャック・ゴフ。キャリア黄金時代を築けるか

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