黒煙の中に100歳代女性 50年来のご近所さん、無我夢中で救った 横浜

小出署長(中央)から感謝状を贈られた福本さん(右)と崔さん=横浜市南区の南消防署六ツ川出張所

 横浜市南区で2月に起きた住宅火災で、取り残された100歳代の女性を救出したとして、南消防署は18日、ともに近所に住む福本時子さん(82)と崔成銀さん(41)に感謝状を贈った。

 同消防署によると、火災は2月20日午前8時45分ごろ、同区六ツ川2丁目の木造住宅で発生。向かいに暮らす福本さんが黒煙を見つけて駆け付け、近所の崔さんは119番通報した。室内が煙で覆われる中、福本さんは室内の女性に気づいて服の袖をつかんで、崔さんらと協力して救出した。

 女性宅は全焼し、隣接住宅2棟の外壁なども焼いたが、女性にけがはなかった。市内は当時、強風、乾燥注意報が発令されていて火の回りが早かったといい、同消防署は2人の行動がなければ人命が危なかったとみる。

 感謝状を贈られた福本さんは「約50年の付き合いのあるご近所さん。救い出すために無我夢中だった」。崔さんも「恐怖心は感じず、『助けなきゃ』という意識だけだった」と振り返った。小出健署長は「勇気ある行動」と2人をたたえ、「地域で防災の輪が広がっていくことを期待する」と述べた。

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