オープン戦快進撃の阪神〝影のMVP〟は背広組…助っ人全滅のDeNAとは雲泥の差

オープン戦好調の阪神。注目されるのはルーキー・佐藤輝だけではない

阪神はドラフト1位・佐藤輝明内野手(22=近大)の猛打でオープン戦7勝2敗1分けと絶好調だ。そんな怪物ルーキーの陰で秘かに注目を集めているのが背広組のらつ腕ぶり。「このまま開幕ダッシュも成功すれば影のMVP」と他球団から称賛の声が寄せられているのは、虎の助っ人部門を取り仕切る国際スカウト部門だ。

コロナ禍により外国人選手がいまだ入国できず全員が揃わない状況下で、各球団で開幕の戦力構想から外さざるを得ない〝異常事態〟が発生している。ただ、総勢8人の虎の助っ人勢はNPB2年目以上のサンズやマルテなどすでに6人が稼働中。〝開幕アウト〟はラウル・アルカンタラ投手(28=韓国斗山)、メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国KT)の新加入の2人にとどめた。

在籍する10人全員が開幕絶望のDeNAなどと比べれば〝痛み〟は最小限度。もちろん、この差には理由がある。

パ球団で国際業務に従事する関係者によると「次年度がNPB2年目以降の選手には、翌年の契約の有無に関わらず『在留資格証明書』というのがあって、多くの球団がそれにサインしてもらってから帰ってもらっている」と話す。この証書の有効期限内であれば、再入国の手続きが簡素化されるからだ。

現在、NPB2年目以上の外国人選手でまだ入国できていない選手は昨年の帰国の際、この手続きを怠ったことが影響している。再入国へ在留資格を申請しようとした年明け早々、国内のコロナ情勢が悪化、手続きの受けつけ自体がストップしたためだ。手続き停止前に一連の作業を滞りなく、済ませたのが阪神だ。

さらにパの関係者が「価値ある判断」と称えたのが、ロッテから新加入のチェン・ウェインと、昨季のセーブ王・スアレスの2人の投手についてだ。「そもそもチェンは昨年の終了時点でよそのチーム。帰国時に(在留資格の)証明書の申請をして帰ったか否かも把握しにくい。すでに来日してプレーしていることからも、しっかり確認して獲得したと思う。スアレスも一度は交渉決裂で、自由契約になっている。でも、それ以前に契約がまとまった後のことを見込んで(前出の)証書のサインだけは済ませていた。だから今、投げている」。

もちろん外国人枠には上限があり、人数が多ければいいというものではない。それでもDeNAの看板助っ人であるソトやオースティンなど契約は合意しても「使えない」のとは雲泥の差。先を見据えた背広組のファインプレーともいえる後方支援を追い風に、果たして猛虎は開幕からロケットスタートを決めることができるか。

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