社説[緊急事態宣言解除へ]変異株対策を徹底せよ

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 政府は首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言を、21日の期限で解除すると発表した。

 菅義偉首相は対策本部で「新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善されている」と解除の根拠を説明した。

 数値に一定の改善がみられるのは確かだ。だが、全面的に好転したわけではない。

 1都3県の新規感染者数は他の地域と比べ依然として高い水準にある。特に東京や埼玉では再び増加の動きに転じており、決して安心できない状況だ。

 現時点で最も警戒しなければならないのは、感染性が高いとされる新型コロナウイルスの変異株の拡大である。厚労省によると、16日までに沖縄を含む26都道府県で399人から変異株が検出され、全国へ広がっている。

 一部のウイルスには、これまでに開発されたワクチンの効果が弱まる可能性が指摘される。

 専門家は今後、変異株が流行の主流となる可能性が高いとみている。リバウンド(感染再拡大)へとつながる恐れがあり心配だ。

 政府は変異株対策として、スクリーニング検査の抽出割合を現在の10%から40%程度に引き上げるというが、それで十分なのか気になる。

 解除を受け4都県は、飲食店への営業時間の短縮要請を現在の午後8時から段階的に緩和する。政府はこれまで飲食店に的を絞った対策を進めてきた。それが有効だったかどうかを検証し、今後に生かしてもらいたい。

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 緊急事態宣言の発令から2カ月半。首都圏では「コロナ疲れ」「自粛疲れ」が広がる。

 新規感染者数が下げ止まる中で宣言を解除するのは、再延長してもさらなる改善は難しい、と宣言による効果の限界を認識した上での判断だ。

 ただ、新年度を控えたこれからの時期は、人事異動や入社、入学などで人の流れが大きくなる。

 東京大の研究チームは、解除後に市民の気が緩み歓送迎会や花見などの宴会が盛んに行われた場合、再び感染者数が急増し、緊急事態宣言の再発令が必要な状態になると分析した。

 菅首相は「引き続き緊張感を持って対応いただくことが極めて重要」と述べたが、いったん緩んだ人々の気持ちを再び引き締めるのは難しい。

 政治に今求められるのは、なぜ危機感を持ち続けなければならないのか、国民に響く具体的なメッセージを送ることだ。

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 県独自の緊急事態宣言が解除されて2週間余りになる県内でも、クラスター(感染者集団)の発生が相次ぐなど感染拡大の傾向がみられる。

 18日は新たに43人の感染が確認された。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国で3番目と高水準だ。医療提供体制の逼(ひっ)迫(ぱく)も続いている。

 ワクチン接種スケジュールは不透明で、一般向けの接種はまだ見通せない。いま一度気を引き締め、自分や周りの人の命を守る行動を再確認したい。