「今度は自分が恩返ししたい」 白血病克服の小6がヘアドネーション

 【中部】泡瀬特別支援学校小学部6年生の山井楽人(らくと)さん(12)は18日、髪の毛を医療用かつらに再利用する「ヘアドネーション」として寄付しようと、読谷村の美容室「ヘアルーム・ボタニカ」で髪を切った。幼い頃に白血病を発症し、約4年の闘病生活を経て完治した。「今度は自分が恩返ししたい」と、4年生の頃から髪を伸ばし始めた。19日の卒業式で、教員や友人らを驚かせたいと笑顔を見せる。

 白血病を克服した自身が患者の助けになることで、同じ境遇の子どもたちを勇気付けたいと思っている。卒業式に合わせて髪を切ることは、周囲に話していない。当日、サプライズで披露する予定だ。

 1歳6カ月で白血病と診断された。抗がん剤の治療中は髪が抜け落ち、口内炎の激痛に悩まされた。治療中に肺炎にかかり、命が危ぶまれたこともある。放射線治療の影響で足の骨の成長が遅れ、障がいが残った。

 2回の骨髄移植を経て、5歳で治療を終えた。同校には小学1年生から通う。低学年までは母の茉桔子(まきこ)さん(50)の付き添いがないと通えず、不登校気味になった時もあったが、教員たちが寄り添い、背中を押してくれた。当初は車いすを利用していたが、今ではつえを使って歩けるまでになった。

 この日は、茉桔子さんがハサミを入れた。毎日、くしでといていた髪を見詰め「伸ばし始めてから自信がつき、日々の成長を感じていた」と振り返った。「未来に向かい、これからも自分の世界を輝かせてほしい」と涙を浮かべた。

 カットを終え、山井さんは「困っている人を助けられたらうれしい」と満足げな表情で話した。卒業後は同校の中学部に進学する。「中学校でも勉強を頑張って、いい先輩になりたい」と笑った。

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