路上トラブルで転倒、被告は「予期せず殴られ、正当防衛」 横浜地裁が無罪判決

横浜地裁

 横浜市内の歩道で男性=当時(70)=を殴って転倒させ、頭にけがを負わせたとして、傷害の罪に問われた男性(61)の判決公判が19日、横浜地裁であった。景山太郎裁判長は「正当防衛が成立する」として、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 男性は2020年2月5日、横浜市中区真砂町2丁目の歩道で酔って歩いていた男性とすれちがう際に言い合いとなり、1発殴られたことから2発殴り返し、相手を転倒させて外傷性くも膜下出血などのけがを負わせたとして起訴された。

 関係者によると、転倒した男性は約3週間後に死亡。検察側は暴行との因果関係の立証は困難と判断し、傷害致死への訴因変更を断念した。

 公判で弁護側は「正当防衛が成立する」と主張。検察側は、男性が酔っぱらった男性から「なんだてめえ」と言われ「なんだ」と言い返している点を踏まえ、「(言い返したことで)相手が不快感や怒りをあらわにする言動に及ぶことは想定の範囲内」などとして、正当防衛の成立を争った。

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